大型書店が相次いで閉店しています。ジュンク堂書店難波店で2022年まで12年間店長を務め、反ヘイト本フェアでも知られた名物書店員の福嶋聡(あきら)さんは、現状をどう見ているのでしょうか。
ジュンク堂の元店長に聞く
――大型書店の閉店が相次いでいます。1月末にはMARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店が閉店し、3月末には八重洲ブックセンターも営業を終了します。
かつて、まちの個人書店にとって、どんどん進出してくる大型書店は「悪役」でした。僕は演劇をやっていたこともあり、「悪役の方が面白い」などとうそぶいていたこともありましたが、日本全体でこれだけ本屋が減り、悪役にすらなれなくなったと言えるのかもしれません。
ただ、大型書店がなくなって「寂しい」というのと、なくなって「困る」というのは違うと思います。もはや、読者もそんなに困っていないのではないでしょうか。
――いえいえ、困ります。
たしかに新聞記者さんは困るかもしれないけれども……。
本屋に行く習慣が当たり前だという時代はもう去ったと言えると思います。大学の先生も著者や編集者も、アマゾンで本を買っていて書店にはそんなに行かなくなっているんじゃないでしょうか。
リアルな本屋の一番のメリットは、思いもよらぬ本に出会うことです。だけど、その意義や喜びが忘れられてしまったのでしょうか。
他方、本屋が減っていくことに関して、大型書店については建物の建て替えという理由がさしあたり前面に出てきていますが、実は本屋自らが招いた事態であるとも言える。
――というと?…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル