それは、ちょっと変わった校歌だ。
よくある「●●小学校校歌」といった形式ばった題名はついていない。「未来をひらく」。詞の最後のフレーズが、そのまま題になっている。
今は傷だらけになった校舎のそばに、歌詞を刻んだ碑がある。その前で卒業生の永沼悠斗さん(28)はこんな話をしてくれた。
「同級生とよく替え歌で遊んだ。2番の『寄せてくる波』の『よせてくーる』で1拍、あくんです。波のところを『津波』と替えていた。別に災害を意識したわけじゃない。いま思うとなんでだろう、ってね」
「母校の校歌っていつまでも口ずさめる。『未来をひらく』もそうですが、歌詞一つ一つの意味が年を取るほど深まってくるなと感じます。自然の中で暮らしていたんだな、とか」
宮城県石巻市立大川小学校。その校歌を作詞したのは、富田博(1919年~2014年)だ。
小学校の教師を続ける傍ら…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル