岩手県山田町の船越半島にある開運山瑞然(ずいねん)寺で、「日蓮宗大荒行」と呼ばれる100日間の修行に初めて臨んだ佐々木龍英副住職(25)の帰山式が、13日にあった。この荒行を達成した僧侶にのみ、祈禱(きとう)を行うことが許される。地元の人たちが副住職の帰山を祝った。
大荒行は、昨年11月1日から2月10日までの100日間、千葉県市川市の法華経寺の日蓮宗大荒行堂で行われた。
厳寒の中で水をかぶる水行を、朝3時から夜11時まで1日7回行う。その間、お堂ではひたすら読経と写経を続ける。食事は朝夕2回。梅干しが入った底が見えるほどのおかゆとみそ汁で、10秒ほどで食べ終えてしまう量。睡眠は2時間ほどだという。
龍英さんは、荒行の苦しみの中、家族や友人、檀信徒(だんしんと)ら多くの人たちの顔が浮かび、乗り越える支えになったという。
荒行堂では、清浄衣(しょうじょうえ)という薄い着物をまとう。龍英さんは今回、亡き父の英寿さんが3回の大荒行で身につけていた衣をまとった。「父と一緒に修行していると思って臨みました。これからも父の魂を宿して一緒にご祈禱させていただき、困っている人、弱っている人を一人でも多く救っていけたらと思います」
祖父である佐々木瑞英(ずいえい)住職(77)は大荒行を14回達成しているが、孫の帰山式では目頭を熱くした。「鬼の目にも涙ってやつでしょう。自分のときはそれほど感じなかったけれども、やっぱり孫になれば言葉に言い表せない感激です」と喜んだ。
今回の大荒行には、希望した僧侶が全国から116人参加した。新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催となるなか、龍英さんは最年少参加者の1人だった。
待ちわびていた息子の蓮和(れんと)君(5)も喜び、帰山式では父に花束を渡した。(杉村和将)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル