細沢礼輝
大正から昭和初期にかけて数多くの邦画を生み出した「松竹キネマ蒲田撮影所」の歴史を伝えるイベントが、撮影所跡地に建つ大田区民ホール・アプリコ(東京都大田区)で3日に開かれた。「キネマの天地」として輝いた往年の街の様子を感じさせる展示などがあり、参加者は興味深そうに見入っていた。
蒲田撮影所は1920年に開設。16年後に神奈川県・大船に移転するまでに、約1200本の映画が撮影された。現在、JR蒲田駅で発車メロディーとして使われている「蒲田行進曲」は撮影所の所歌だった。
会場ではパネルを使って、女優の田中絹代や監督の小津安二郎ら撮影所で活躍した映画人のほか、カフェや喫茶店が点在したモダンな街並みを紹介。また、俳優がカツラをあわせたり、着付けをしたり、太陽光が差し込むセット内で撮影したりしている風景を、リアルな人形や模型で再現したジオラマを展示した。
蒲田映画祭のプロデューサーを務め、今回のイベントで撮影所の歴史を解説した岡茂光さん(79)は「今では蒲田には映画館もなくなってしまったが、映画とともに歩んできた街の歴史を忘れて欲しくない」と話した。(細沢礼輝)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル