新聞やテレビなどの優れた報道を表彰する市民団体「メディア・アンビシャス」(代表=上田文雄・前札幌市長)の2022年の表彰式が4日、札幌市内であった。朝日新聞からは活字部門で、「国『拉致問題の本 充実を』/司書困惑 図書館の自由揺るがす『依頼』」がアンビシャス賞に、沖縄復帰50年にあわせて掲載・配信した「復帰50年 基地はなぜ動かないのか」が優秀賞に、それぞれ選ばれた。
22年は沖縄の日本復帰から50年の節目の年だった。「復帰50年 基地はなぜ動かないのか」の取材班を代表して式にオンライン出席した木村司・前那覇総局長は「沖縄ではなく、沖縄以外の日本全国で基地が大幅に縮小されたのが沖縄の復帰50年だったが、義務教育で教わった日本の歴史からは、そうした戦後史は欠落している。沖縄の状況は、日本社会がもたらしたもの。沖縄を報じるとき、日本社会そのものを問う姿勢が大事」と振り返った。
また、加速度的に進む安保論議にふれて「新たな沖縄への負担が仕方がないかのような議論が改めて広がっているが、一つ一つ丁寧に解きほぐし、背景や構造を読み解く姿勢がメディアに問われている」と語った。
沖縄の復帰50年関連では、映像部門で、テレメンタリー 報道特集番組「復帰50の物語」(QAB琉球朝日放送)▽ドキュメント「還らざる日の丸~復帰50年 沖縄と祖国~」(RBC琉球放送)も優秀賞に選ばれた。
「国『拉致問題の本 充実を』/司書困惑 図書館の自由揺るがす『依頼』」の取材班代表、大阪社会部・宮崎亮記者は「変だな、気持ち悪いなと感じる感覚を大事にしてそれを放置しない。しっかりと取材して事実関係をつめて結果を記事として社会に共有する。こういう地道な作業が果たすべき役割だと今回の受賞を機に改めて心に刻んでいます」と語った。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル