1月12日の昼下がり。箱根駅伝から9日後にあった練習の合間の休憩時間だった。
駅伝を8位で終え、新体制となった創価大駅伝部の主将で3年の志村健太さん(21)と望月遥平さん(21)が東京都八王子市にある寮の食堂で昼食中、近くの建物から煙が上がっているのが窓から見えた。「火事だ!」
とりあえず行って、何もなかったら戻ってくればいい。そんな思いで、2人は寮から約200メートル離れた現場へ駆けだした。
同じころ、寮の3階で4年の葛西潤さん(22)と市原利希也さん(22)も火事に気づき、「煙が多いな」。どうしようか迷っていると、走っていく志村さんと望月さんが窓越しに見えた。「俺たちも」と駆け出すと、1階にいた本田晃士郎さん(22)も合流。計5人の部員が火災現場に向かった。葛西さんは今回の箱根駅伝で7区を走り、区間賞を取った実力だ。
火災は平屋建て倉庫が火元。5人の到着時には火はすでに周囲に燃え移っていた。逃げ遅れた人がいないか、近くの住宅に「誰かいませんか」と声をかけて回った。すると、倉庫隣の住宅2階に取り残された人がいることがわかった。玄関が激しく燃えていた。「とにかく助けないと」
「人間力の向上、見せられた」
望月さんと葛西さんが隣の敷…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル