ドーナツが海に沈んだような高さ約19メートルの奇岩。鍋釣岩(なべつるいわ)の名は鉄鍋の取っ手「つる」に似ていることに由来する。溶岩が波や風に浸食され、空洞ができた。
「実は同じ形の岩がもう一つあったようなんです」と奥尻町教育委員会の稲垣森太・主任学芸員(40)。「北海道」の名付け親として知られる幕末・明治の探検家、松浦武四郎が残した書物に、大小二つあったと読める記述があるという。風雪に耐え、崩れずに残ったほうの岩は奥尻島のシンボルに。力強いその姿に、稲垣さんは「エールをもらっている」と話す。
奥尻島は7月、北海道南西沖地震から30年を迎える。推定震度6の激しい揺れと、高さ約30メートルまで達したとみられる津波。死者・行方不明者198人に上る大惨事となった。鍋釣岩も一部が崩落し、約1億円かけて修復した。岩の周辺は子どもらの海遊びの場所として人気があり、干潮時には岩まで歩いていけた。地震で島全体が沈み、前のようには渡れなくなったという。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル