【#父親のモヤモヤ】
男性は人間関係が職場に偏りがちで、定年後は自分の居場所を見失って戸惑いがちになる。そんな声を聞くたびに、記者(44)はちょっとした胸騒ぎに襲われます。
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家事育児をしながら仕事をするようになった父親の葛藤を書いた「#父親のモヤモヤ」で、「パパ友がほしい」という読者の投書を読んだとき、なぜか「定年後」という言葉が浮かびました。「パパ友がいない」「定年後の居場所がない」。その両方の背景には、職場の外に世界をつくれないことがあるのではないか、と感じたからです。そして、その世界をつくることをおっくうに思う自分に危機感があります。仕事中心の生活になって約20年。定年後まで見据え、「パパ友がいない」問題を考えてみました。(朝日新聞記者・武田耕太)
「定年後の地域デビュー」支える会
最初に連絡をとったのは、神戸市のフリーライター、石橋正敏さん(59)。「『パパ友はできる』を実践しています」と話します。
2006年、PTA会長を務めたことをきっかけに「父親の会」を立ち上げました。その名も「本一(もといち)応援隊! パパレンジャー」。運動会などの行事に並ぶ家族の行列の整理や、焼き芋大会や川掃除。様々な活動をしているそうです。当時、PTAは「女性の昼間の活動」という雰囲気がありましたが、パパレンジャーの立ち上げで、男性が積極的に参加する雰囲気に変わったそうです。「30代、40代で男性も地域デビューするきっかけになります」
さらに、翌07年には、「地域で輝くおやじをめざして」とのコンセプトで、「東灘マスターズゼミ」なるものの立ち上げにかかわりました。おおむね定年後の男性を対象に、地域デビューのお手伝いをします。
「団塊の世代の定年後の地域デビューが難しい」。そんな声を東灘区社会福祉協議会の関係者から聞いたのがきっかけになりました。
ゼミの期間は半年。計10回のプログラムでは、1人あたり800円を集め、買い物して料理をつくったり。近隣の幼稚園や高齢者施設に、クリスマスのときはサンタクロース、節分のときは鬼になってあらわれたり。修了後は、任意で「東灘マスターズの会」に入会してもらいます。いま、250人ほどの会員がいるそうです。
会員になると、今度はゼミを運営する側にまわったり、地域のボランティア活動に参加したりします。ゼミを修了するだけで終わらず、その後も会員となってかかわり続ける男性たちがいることが、会の継続につながっているといいます。
石橋さんによると、「プライドが高いのがサラリーマン男性のあかんところ」。「どこそこに勤務していたとか、定年したのに後生大事に名刺を大事に持ち、披露する男性もいます」と話します。ゼミはそんな男性の意識改革の場にもなっているようです。
「パパ友というか、ジジ友ができるきっかけになっています」と話します。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース