大阪府枚方市の淀川周辺の地下に、これまで知られていなかった活断層があるとする研究結果を、同志社大の堤浩之教授(変動地形学)らがまとめた。過去に何度も調査が行われたエリアにもかかわらず、分かっていなかった。日本地震学会誌に発表する。
堤教授らは、6人が死亡、6万5千件以上の住宅被害があった昨年の大阪北部地震をきっかけに、大阪府や文部科学省などが過去に多数行った地下構造探査のデータを集め、周辺の地形と照らし合わせて再解析した。
その結果、枚方丘陵の西側を南北に6・5キロにわたって走る枚方断層の北東方向に、ほぼ淀川に沿って8・5キロの新たな活断層があると推定された。枚方断層の延長とみられ、全長は15キロに延びると推定された。大阪北部地震の震源はこの活断層の西に位置する。周辺は人口密集地で、JRや私鉄が通る交通の要所だ。もし地震が発生すれば大きな被害が出る恐れがある。
堤さんは「淀川の浸食により活断層の直上の地形の痕跡が見えなくなったとみられる。このエリアは活断層について過去に詳しく調査されていた地域だが、まだ未確認の活断層があったのは驚きだ」と話す。
羽曳野市から枚方市にかけては、約38キロの生駒断層帯が走る。枚方断層はその一部だ。政府の地震調査研究推進本部によると、生駒断層帯は全体が一つの区間として活動し、マグニチュード7級の地震が発生すると推定される。発生確率は「30年以内に、ほぼ0~0・2%」とされる。ただ、今回の研究によって生駒断層帯全体の長さが今よりも長くなるわけではないため、京都大防災研究所の岩田知孝教授は「地震規模の推定がすぐ変わることはないだろう」と話す。だが、複雑な地下構造をしている可能性があり、さらに調査が必要だと指摘している。(編集委員・瀬川茂子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル