スズキナオ=ライター
琴ケ瀬茶屋(京都)
京都でも指折りの景勝地・嵐山は今日も観光客でにぎわっている。渡月橋を渡り切り、桂川沿いをしばらく上流に向かって進んでいくと、川岸に黄色い手こぎボートがとまっているのが見える。こぎ方の正解もわからぬまま、なんとか対岸へたどり着くと、そこは川面が間近に迫る特等席のような休憩所だ。
創業は大正8年。丹波から木材を運ぶ筏(いかだ)師や川船の船頭を生業にしてきた創業者が、保津川下りを終えて嵐山に着いた船に甘味や飲み物を提供する“売店船”を始めた。もともとはその船に売り物を積み込むための場としてあった土地が、いつからか休憩所としても使われるようになったのだ。
メニューはおでん、イカ焼き…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル