雨傘運動から5年 収束の兆しが見えないデモ活動
先週、香港政府のトップが市民の意見を直接聞く初めての集会が開かれました。2万人以上の応募の中から抽選で選ばれた150人の市民。政府を支持する市民ばかりが選ばれるのではないかとも言われていましたが、参加者からは辛辣な批判が相次ぎました。
「政府に一国二制度をきちんと保ってほしい。お互いに介入しない本当の一国二制度を」
「警察は、記者も民間人にも暴力を振るう。市民は警察を見たら逃げるしかないんです」(香港市民)
そのころ外では、多くの若者が集まり、警察の暴力を批判したり香港の自由を守れと訴えたりしていました。若者たちのデモは集会が終わった後も日付が変わるまで続きました。
5年前、若者たちが中心となって民主化を求めたいわゆる『雨傘運動』。その後、活動は鎮静化していましたが、ことし、香港政府が『逃亡犯条例』の改正案を議会に提出したことをきっかけに大規模なデモに発展。デモ隊の一部は暴徒化。香港政府は9月、逃亡犯条例の改正案を撤回しましたが、デモ活動が収まる気配はありません。香港社会でいま、何が起こっているのでしょうか。
会社を突然クビ “誰が友人か敵かわからない”
施安娜(シ・アンナ)さん(39)。香港の大手航空会社、キャセイパシフィックの子会社で19年間、キャビンアテンダントをしていました。仕事にやりがいを感じていましたが、8月、上司に呼び出され、突然、解雇を告げられました。
「フェイスブックに書き込みをしたか聞かれて、“はい”とこたえたら、すぐクビになりました。理由を教えてほしかったけど、“説明できない”と言われました」(施安娜さん)
キャセイパシフィックでは、8月、最高経営責任者が突然、辞任しました。背景には、デモに参加した従業員を中国本土への便に乗せることを禁止されたり、従業員の個人情報を提供するよう指導されるという中国政府の圧力があったと言われています。施さんは自らのFacebookに、最高経営責任者の辞任を『アンハッピー』と書き込んだことが解雇につながったとみています。
「どんな政治的スタンスかにかかわらず、会社が傾いたら全員被害者だと感想を言っただけです」(施安娜さん)
さらに問題なのは、親しい友人にしか公開していない書き込みをなぜ会社が把握したのかという点です。
「同僚が外部に漏らしたんでしょう。私は仕事の仲間とここまでこじれたことが悲しいし、怒りを覚えます。誰が友人なのか、誰が敵なのかわからず、こわいです」(施安娜さん)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース