武井風花
京都府内で、麻薬の原料となるケシの発見が急増し、直近4年間で約5倍となった。明確な理由はわからず、府の担当者も首をひねる。見つけた人が自ら抜くと「違法」と問われる恐れもあるため、府の職員らが除去に大忙しだ。
ケシの仲間は園芸種として人気があるが、薄紫や赤の花を咲かせる「セティゲルム種」や、赤やピンク、紫といった花を咲かせる「ソムニフェルム種」などはあへん法により無許可での栽培が禁止されている。2種とも、オレンジ色の花を咲かせる一般的な「ナガミヒナゲシ」より草丈が高く、空き地や道端などに雑草として自生していることが多いという。
府薬務課によると、通報などを受けて府内で除去されたケシの本数は2019年に2748本だったが、昨年は1万3467本にのぼった。特定の地域で多いわけではなく、府内各地で発見が相次いでいるという。
担当者は「理由はわからない」としたうえで、工事で土が掘られた時に土の中にあった種子が刺激されて発芽した可能性があるとする。「ケシの種子の発芽能力は10年ほど続き、生命力が高いのが特徴です」。危険性が広く知られるようになり通報が増えた可能性もあるという。
5、6月は国が定める「不正大麻・けし撲滅運動」の期間に当たり、府は専任の職員1人を置き、警察や保健所と協力して除去に奔走している。「この時期はほぼ毎日除去やパトロールに出かけている状態です」
府は、見つけたら近くの保健所か警察署、府薬務課(075・414・4786)のいずれかに通報してほしいと呼びかけている。(武井風花)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル