「田んぼに白いカメがいる」
4月末、茨城県南部にあるかすみがうら市水族館(同市坂)に、こんな電話が寄せられた。通常のカメは黒っぽい色をしたものが多い。海外から輸入したカメを飼い主が逃がしたのかな――。応対した水族館の小林誠館長(27)は想像を膨らませていた。
情報提供者は千葉県香取市に住む夫婦で、数日後に保護したカメを水族館まで届けてくれた。事前の話通り全身は白っぽく、ところどころ血管が透けて赤みがかっていた。
体長は数センチ。手のひらに載るほどの大きさで、生後1年も経っていない「幼ガメ」だった。甲羅の形などから種類はクサガメで、色が白いのは突然変異で体の色素が抜ける疾患「アルビノ」であることがわかった。
アルビノの個体は突然変異のため、個体数自体が少ない。しかも自然界では姿が目立ち、外敵に襲われやすい。野生でアルビノの個体が見つかるのは、極めて珍しかった。
見つけた経緯を尋ねると、夫婦が自宅近くの水田で農作業をしていたところ、1匹で泳いでいたという。珍しいから飼おうかとも考えたが、「成長していく姿を多くの人に見てもらいたい」。そう思い直し、観光で訪れたことがあった水族館に連絡してくれたという。
水族館も心配する「繊細さ」
クサガメは、健康なら数十年…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル