大貫聡子
熊本県の川辺川への流水型ダム整備で一部が水没する熊本県五木村の振興計画について、蒲島郁夫知事が4日、村を訪れ住民に説明した。5月に国、県、村が合意した振興計画は、「ダム前提では受け入れられない」とする村への配慮でダムに関する記述が削除されたが、村民からは「ダムを受け入れない場合は計画を見直すのか」など不安の声もあがった。
説明会には村から90人、村外から5人が参加した。
川辺川へのダム計画は蒲島知事が2008年に撤回したが、20年に流域で大きな被害が出た豪雨災害の後、同じ場所への流水型ダム建設を含む河川整備計画が策定された。
蒲島知事は冒頭、地域がダム計画に揺れてきた経緯を念頭に「村の苦難の歴史を受け止め、不退転の覚悟で取り組む」とあいさつ。その後、県の担当者が「“ひかり輝く”新たな五木村振興計画」の移住・定住促進に向けた土地確保や道路整備といった概要を説明した。
1940年に6179人だった村の人口は2020年時点で931人。村民から「若者が働けるよう企業を誘致してほしい」「子育て支援を拡充してほしい」などの要望が寄せられた一方、振興計画に「人口はどのくらい増えると見積もっているのか」「ひかり輝くと言っても絵に描いた餅ではないか」「知事も任期が終わったら村に移住してほしい」などの声もあがった。
県は村の振興策として、今年度から20年間で100億円規模の財政支援をする方針を示している。蒲島知事は「みなさんが本当に大切だと思うことに使ってほしい」と述べ、「ダム前提の計画なのでは?」という質問に対しては「まったなしの村の振興をやろうというもの。前提ではない」と否定した。(大貫聡子)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル