村上友里 菅沼遼
大学生ら15人が亡くなったバス事故から7年半。8日の長野地裁判決は「注意義務を尽くしていれば事故は起きなかった」と、運行会社長らのずさんな管理と責任を厳しく指摘した。遺族は実刑判決を評価しつつ、癒えない悲しみを語った。
今回の事故で、運転手は亡くなった。入社から約2週間で、4回目の運行だった。事故原因の特定が難しい中、長野地検は「運転が未熟だった」などとする元同僚運転手の証言などを得て、事故から5年後、社長と運行管理者を業務上過失致死傷罪で在宅起訴した。
事故現場にいない企業幹部らが同罪に問われたケースは過去にもある。乗客ら107人が死亡したJR宝塚線(福知山線)脱線事故では、JR西日本歴代3社長が強制起訴されたが、無罪が確定した。過失を認定する壁は高いとされる。
この日の長野地裁判決は、道路運送法などの関係法令に着目。事業者は輸送の安全確保のため、運転者に必要な技量が備わっていることを確認してから運行させる義務を負っているとした。
その上で、社長らが過去に監査で不備を指摘された際、虚偽の弁明書を提出していたことや、同業他社が運転手の技量を把握してから運行させている状況なども踏まえ、運転手の技量を確認しないまま、スキーツアーの運行をさせた社長らが「刑法上の注意義務を怠っていたのは明らかだ」と結論づけた。
なぜ回避できなかったのか…認められた「予見可能性」に募る悔しさ
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル