「工事のため渋滞です」。高速道路の交通情報ではこんな案内が今や当たり前のように流れる。老朽化対策のため始まった大規模なリニューアル工事の現場をのぞいた。
愛知と三重をつなぐ東名阪道のうち、弥富インターチェンジ(IC)―長島ICは5月下旬、リニューアル工事が続いていた。愛知県弥富市の現場は、片側2車線の下り線のうち右の追い越し車線を規制していた。その両側をトラックや乗用車がビュンビュンと走り抜けていく。
「常に揺れているような状態。細かい接合作業の際には気を使います」。中日本高速道路(名古屋市)の名古屋支社の工事担当課長は話す。
高速道路の工事には、集中とリニューアルの2種類がある。集中工事は年に1、2回、数週間にわたって交通規制をし、ガードレールの交換や舗装の補修などをする。
リニューアル工事は、路面であるコンクリート製の床版(しょうばん)や橋桁の取りかえといった大型構造物に手を入れるため期間が長くなる。
全国の高速道路で、大規模な更新事業「高速道路リニューアルプロジェクト」が始まっている。きっかけは、2012年に中日本高速が管理する中央道の笹子トンネル(山梨県)で天井板が崩落し、9人が死亡した事故だ。東海3県では、中央道の園原IC―中津川ICで18年からスタートした。
大半が半世紀ほど前に造られた東名阪も老朽化が著しい。弥富市の中日本高速の工事事務所では、外した古い床版を展示している。
アスファルトをはがしたコンクリートの表面はボロボロ。さびが浮き出た鉄筋が目につく。中日本高速の工事担当課長は「長い年月が経っているのでこんな状態に。トラックも多いので傷みは激しく、一時的な交通規制による補修では間に合いません」と説明する。
東名阪のリニューアル工事は22年1月から始まった。今年12月までの予定で、弥富IC―長島ICの下り線に敷かれた床版を取り換えている。
ほかの高速のリニューアル工事では、中央分離帯や路肩もつかって道路幅を確保している現場もある。岐阜県羽島市と同県安八町にまたがる名神高速の長良川橋もその一つ。片側2車線があるため、渋滞もいくぶんは緩和できる。
1・6キロの工事区間に約2年の工期。実際の工事よりも、足場や車線をまたいだクレーンの設置、移動など準備作業にかなりの時間がかかるそうです。
だが、東名阪では道路幅が狭いため、片側1車線ずつ規制をしながら工事をしている。その結果、付近では恒常的に3キロ以上の渋滞が起きている。
1枚の床版は長さ6メートル…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル