香川県さぬき市の市立長尾小学校に通う3年生の平賀夏姫(なつき)さん(8)と寒川ゆずさん(8)は、1年生のときに同じクラスになってから、お互いを「なっちゃん」「ゆずちゃん」と呼び合う大のなかよし。
5月1日午後3時半ごろ、2人は公園で遊んだ帰り道を並んで歩いていた。すると、遠くに倒れている人を見つけた。
近づいてみると、そこは自転車しか通れないような細い道。90代の男性が仰向けで倒れていた。
「力が入らなくなって倒れた。起き上がれない」と男性は2人に助けを求めてきた。
2人は迷うことなく男性の腕を支えて、体を起こしてあげた。
平賀さんは、持っていたキッズケータイでお母さんに電話した。「おじいちゃんが倒れているから、来てほしい」
すぐにお母さんは現場に駆けつけた。「救急車は呼ばなくていい」と男性が話したため、110番通報した。
「のどが渇いた」。男性の一言に、寒川さんは「なっちゃんが背中もっとったけん。私がお金を持っていたから」と、近くのスーパーマーケットまで全力で走った。平賀さんのお母さんは「ゆずちゃんがぴゅって走っていったんです」と振り返る。寒川さんはペットボトルのお茶を買って戻ると、ふたを開けて渡してあげた。
その間、平賀さんは男性の背中をさすり続けた。
警察官は15分ほどで現場に到着。男性の様子を見て、119番通報したという。
男性は救急車で搬送され、10日間ほど入院した後、退院した。後日、男性の家族から、平賀さんと寒川さんにお礼の電話があった。
2人は6月9日、長尾小学校の校長室に呼ばれ、感謝状を受け取った。校長室には、地元の市長や校長先生ら大人がずらり。
「困った人がいたら助けるということは、教えていた」と平賀さんのお母さんは話す。感謝状を贈った小村正和さぬき署長は「簡単にできることではない。感激しました」。大山茂樹さぬき市長も「とっさの判断でここまでできることがすばらしい」と2人をたたえた。
緊張しっぱなしだった2人だが、記念写真ではカメラに向かって、小学3年生らしいあどけない笑顔を見せた。(内海日和)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル