池田拓哉 床並浩一
富士山の世界文化遺産への登録が決まり、22日で10年となる。議論になった入山規制は方針を定められないまま、コロナ禍を経て、今夏はにぎわいが戻ると見込まれる。噴火への備えという課題にも直面している。
18日、山梨県の富士スバルライン五合目。バスが次々と駐車場に着いた。訪日外国人が目立つ。7月には登山の山開きを迎える。山小屋は国内外から予約が相次ぎ、軒並み満室という。感染防止策の継続もあり、小屋の収容人数を減らしているとはいえ、予約枠は異例のペースで埋まった。
だが、山小屋やふもとの自治体関係者の顔色はさえない。山小屋に泊まれないことで、十分な休息をとらずに徹夜で山頂をめざす「弾丸登山」が増える懸念があるからだ。多くの登山者が利用する吉田口登山道(山梨県)沿いの山小屋16軒などでつくる旅館組合の中村修組合長は「弾丸登山は高山病や低体温症などのリスクを招く。そもそも登山者が多過ぎる」と危機感をあらわにする。
10年前、富士山はユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界文化遺産に登録された。コロナ禍の時期を除き、近年は年間20万人以上が訪れ、観光客の集中によるゴミの増加などは課題となってきた。ユネスコの諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)は、登山者数の抑制など「来訪者管理」を求めていた。
入山料は強制できるのか
入山規制の代わりに地元が導…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル