人のような立ち姿が話題となり長年人気を集める千葉市動物公園のレッサーパンダ「風太」が5日、20歳の誕生日を迎えた。
同公園を設置する神谷俊一市長を始め、熱心なファンが駆けつけ、記念日を祝った。絶滅が心配されているレッサーパンダだが、風太の血統は78頭に上り、種の維持でも大きな貢献をしている。(重政紀元)
風太の飼育舎前で行われた式典では、神谷市長が「一大社会現象を起こし、千葉市動物公園を全国区に押し上げてくれた」と感謝状を贈呈。風太の好物であるサツマイモ、リンゴを中心にメロンやニンジンなどをあしらった特製ケーキを贈った。
最初は小屋から姿を見せなかった風太は、ケーキを贈られてからしばらくするとゆっくりと登場。「見慣れないものには警戒する」(同園)ため、ケーキには口をつけなかったが、飼育舎内を散歩するなどして、来園者を笑顔にさせた。
観覧エリアの300人の観客は先着順で、早い人は朝7時から列を作った。市川市の鈴木健一さん(39)、由里さん(39)夫妻はそれぞれレッサーパンダのぬいぐるみを持って開園を待ったという。
人間でいえば90歳前後
「出てこないかと心配だったが、式典の最後に姿を見せてくれた。25歳、30歳と長生きしてほしい」
風太は人間でいえば90歳前後の高齢で、国内で飼育されているレッサーパンダとしては全国4番目の長寿。飼育担当の樽川修さん(55)によると、近年は体調を崩して展示を中止することも増えている。以前は好きだったやぐらに登ることはなく、2本足で立ち上がることもなくなったが、「それでも人気は抜群。マーキングなどオスらしい行動も健在です」。
16年前から風太一家を見守り、昨年はその観察記まで出版した中野志保さん(44)もお祝いに駆けつけた。「これまで本当にお疲れさま。年を取って立つこともなくなっていますが、これからはゆっくりと歩んでいってもらいたい」とねぎらった。
寒冷地原産のため暑さに弱い風太のため、同園は現在実施中のクラウドファンディングによる「福祉事業」の第1弾として空調施設を設置。今後、木陰をつくるための植樹や自動ミスト装置の設置などをしていくという。
2005年に朝日新聞が「立てるんです」という見出しとともに紙面に掲載し、人気が爆発した風太。風太がもたらした貢献や人気の影響を聞きました。
風太の血統が全国の3割
20年の間に風太がもたらし…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル