東京地下鉄(東京メトロ)の本社は、JR上野駅のすぐそばにある。
3月23日午後。窓からは上野駅と上野恩賜(おんし)公園を一望できる、高層階の応接室。
元国土交通事務次官で、同社会長(当時)の本田勝氏(70)は、朝日新聞の記者3人と向き合っていた。
「記憶にないとは言わない」
本田氏は、2022年末、東証プライム上場の「空港施設」を訪れ、同社の社長と会長に面会したことを認めた。
国交省OBの副社長(当時)を次期社長にするという方針が固まった――。
会社側にそう告げたことについては、「『方針を固める』というのは言い過ぎだったように思う。そういう考え方がある程度まとまったというだけであって。それを相談に行ったということ」と釈明した。
面会の経緯については、口が重かった。
「いろんな方々から頼まれてというだけで、それ以上はノーコメント」
「幾人かの希望とか考えを伝えに私が行った」
いろんな方々の中に、国交省OBも含むのかと記者が問うと、「いたと想像していただいて構わない」と答えた。
国土交通省OBの人事介入問題の実態や背景に、関係者への取材や入手した記録で迫るA-stories「令和の天下り」の7回目。民間企業に国交省OBを社長にするよう求めた元事務次官の取材時の記者とのやりとりの詳報です。
自身の立場を「有力なOBの…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル