ノーベル化学賞に決まった吉野彰さんが9日夜、東京都内で西日本新聞の単独インタビューに応じ、縁の深い宮崎県延岡市や九州大への思いを語った。主なやりとりは次の通り。
-旭化成の創業の地で、リチウムイオン電池を試験した延岡市への思いは。
「延岡にある旭化成の繊維の研究所で作られた特殊な炭素繊維を開発に使ったのが、結果的に一番良かった。偶然だが、それから開発が進んだ。そもそもの技術の原点が延岡にあった」
-同県日向市の工場で、リチウムイオン電池の材料「セパレータ」を量産化している。今後の展望は。
「セパレータは作るのが難しく、旭化成が強い商品力を保っている。今後、電気自動車やその他の分野でリチウムイオン電池の普及が進むと、生産量が増えるのは間違いない。日向が大きな拠点になる」
-2015年10月から九州大で客員教授や訪問教授を務めている。
「集中講義のような形で年に数回、講義している。若い人とディスカッションもしている。今回の受賞で以前より言葉の重みが増すと思う。しょっちゅうは行けないのが残念だが、関わりつづけたい」
-講義などで伝えたいメッセージは。
「若い人に挑戦心を伝えたい。失敗してもええからやろうや、と。私が電池の研究をスタートさせたのは33歳。その30年、40年先に、ご褒美がもらえた。若いと言っても時間がないから、30代中盤ごろにスタートを切らないといけない。リスクを負って失敗してもチャンスはある」 (聞き手は中野雄策、吉田修平)
西日本新聞社
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