山本逸生
大阪府摂津市のマンションの浴室で2021年、交際相手の女性の長男(当時3)に高温のシャワーを浴びせ続けて殺害したとして、殺人などの罪に問われた松原拓海被告(25)=同府羽曳野市=の裁判員裁判の判決で、大阪地裁は14日、懲役10年(求刑懲役18年)を言い渡した。坂口裕俊裁判長は「死亡する危険性を認識していたとはいえない」と殺意を認めず、傷害致死罪にとどまると判断した。
判決によると、松原被告は21年6月、3人で同居するマンションで、新村桜利斗(おりと)ちゃんの頭をクッションで3回殴って暴行。同8月、浴室で桜利斗ちゃんに高温のシャワーを浴びせ続けて全身にやけどを負わせ、熱傷性ショックで死亡させた。
被告がシャワーを浴びせ続けたのかどうかや、殺意の有無が争点だった。判決はやけどの状況や程度から、「意図的に相当時間かけ続けた」と認定。「浴槽側にシャワーを向けた状態で洗い場に閉じ込めた」とする弁護側の主張を退けた。
一方、殺意について、被告がシャワーをかけ続けていた際、やけどをした桜利斗ちゃんの肌の色が薄かった可能性を指摘した。その上で、「死に至る程度の熱傷を負わせていると気づかなかった可能性は否定できない」と判断。殺害の動機も証拠上はうかがえず、殺意は認められないとした。
量刑については、頭を殴る暴行など「虐待を繰り返す中で傷害致死の犯行に至っており、強い非難に値する」と指摘。「残酷で理不尽な犯行で、同種事案の中でも最も重い部類に位置づけられる」と述べた。
判決に対し、大阪地検の北岡克哉次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。(山本逸生)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル