国土交通省のOBが、省の威光を背景に上場企業の人事に介入していた問題が発覚してから3カ月が過ぎた。何が問題で、反省をどう生かしていけばいいのか。実態解明は十分になされたといえるのか。
天下りの問題に詳しい神戸学院大の中野雅至教授(行政学)と、コーポレートガバナンス(企業統治)に精通した東京大の田中亘教授(会社法)に聞いた。
- A-stories「令和の天下り」
- 国土交通省OBの人事介入問題の実態や背景に迫るA-stories「令和の天下り」の最終回(12回目)です。今回明らかになった人事介入の問題点や取るべき対策などについて行政学と会社法の専門家に聞きました。
天下りの問題に詳しい神戸学院大の中野雅至教授
――一連の問題をどう見ていましたか
国交省が許認可権を持つ民間企業の幹部人事に対し、省OBたちが組織立って介入をしようとしていた可能性があることと、その実態解明が中途半端に終わっていることが問題だと思う。
今回のケースは、官僚トップである事務次官の経験者の名前が3人もあがった。国交省の威光を背景にしたOBらによる組織的な人事介入のような構図なら、実態としては国家公務員法の天下り規制が対象にしている現役職員によるあっせんや求職と変わらない。
そうしたことが許されれば、行政のゆがみや民間の萎縮につながり、日本経済のマイナス要素となってしまう。
――問題が今年3月末に報道されてから3カ月半の間に、次々と新たな問題が発覚していきました
官僚たちの入省年度や異動の情報が整理された「線引き」と呼ばれる(一般には公表されていない)人事資料が、現役職員からOBにメールで送信されてきたことが、人事介入を受けた企業側の調査により発覚した。また企業に対し、省OBを社長にするよう要求した元事務次官の本田勝氏(70)が、今回の問題が報じられる直前に現役の航空局長(当時)と会食していたことも、外部からの指摘で明らかになった。
国会では、そうしたことが発覚…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル