中古車販売大手ビッグモーターの店舗前で、街路樹が枯れる被害が各地で確認されている問題で、ビッグモーター本社が神奈川県内2店舗で除草剤を散布し、1店舗で街路樹を伐採したと認めた。県と川崎市が1日、発表した。
県は7月25日以降、県管理の道路沿いで、街路樹が枯れるなどして伐採を行った3店舗(平塚四之宮、藤沢、横須賀)に聞き取りを行った。平塚四之宮の店長は「着任前のことで把握していない。現在はまいていない」、藤沢と横須賀の店長らは「まいていない」などと回答。ただ、伐採当時の店長がいずれも異動していることから、県は28日、内部調査のうえ回答するよう同社に申し入れていた。
31日夕、同社から電話で、平塚四之宮、藤沢の2店舗で除草剤を散布していたとの連絡があった。横須賀店では散布していないとしているという。同社は「原状回復について協議させてほしい」との意向を示す一方、散布の理由や時期、量は不明で、県は対面で説明を受ける機会を求めている。
あわせて県は31日、平塚四之宮店で土壌を採取した。ほか2店舗でも近く土壌を採取し、除草剤の成分が含まれていないかを調べる。担当者は「国や他県の動向を踏まえ適切に対応する」としている。
川崎店前の街路樹「当社で切った」と報告
一方、川崎市によると、同社から31日、川崎店前の街路樹のツツジ6株を「当社で切った」「原状復旧したいと考えている」と電話で報告を受けた。
川崎店は昨年10月に市に剪定(せんてい)を要望したところ、「『市ではやらないが、こちら(同社)で剪定してもよい』と言われたため、切った」と同社は説明したという。
この点について、市は、根元近くをのこぎりのような刃物で切断したとみており、「程度を超えている」としている。
店は毎日、店舗の状況を撮影して本社に送っていた。昨年10月17日には写っていたツツジが、翌日の写真になかったことが、市による店舗へのヒアリングで確認できたという。
市によると、ツツジは「市民の花」で、景観の向上などの目的で植えていた。高さは60センチほど、幹は直径3~4センチほどだった。市は川崎臨港署に被害届を出す方針。損害賠償の請求も検討する。
福田紀彦市長は1日の定例記者会見で、「正直、信じられない。街路樹を勝手に切るのは想定すらしない。倫理観がないのに驚いた。腹立たしいかぎり。市民の大切な財産を毀損(きそん)させたのは大きいと思う」と述べた。(伊藤良渓、佐藤英法)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル