編集委員・中島隆
夏休みに入り、空の旅を楽しむ人も多いでしょう。でも、空の下に住む人にとって、飛行機は騒音かもしれません。「みなさん、それを忘れないで」と、大阪府東大阪市の教会に勤める牧師、安藤眞一さん(73)は訴えます。自宅は兵庫県淡路市で、結成30年の市民グループ「淡路の空を守る会」の事務局長。いま、危機感でいっぱいです。
まず、淡路島上空の騒音の現状を聞いた。
関空・神戸空港ともに離着陸時は、明石海峡や紀淡海峡の上空を通る飛行ルートを主に使っているが、島の上空を通るルートもある。「守る会」と関西、大阪(伊丹)、神戸の関西3空港を運営する関西エアポートは、それぞれ別に島の複数箇所で、飛行時の音量を測定してきた。
数値はまちまちだが、どちらも月に数回、70デシベルを超える音が測定される。70デシベルは掃除機の音と同じだ。
「都会と違って、島はふだん、極めて静かなので、うるささが際立つ。騒音は慣れるもんやと言う人がいますが、開港前の島の静かさが忘れられません」
安藤さんは、淡路島で生まれ育った。英語を習うために通ったのが、島にあるキリスト教会だった。
高校生のとき、島に空港をつくる話が持ち上がるが、島をあげた反対運動で阻止された。安藤少年が空の騒音を意識したきっかけである。結局、空港は大阪湾の泉州沖にできることに。それが関空だ。
島の騒音を心配しつつ日産自…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル