旅行大手の近畿日本ツーリストが自治体から受託した新型コロナワクチン接種業務で、委託費を最大9億円過大請求した事件。責任をとって辞任することになった高浦雅彦社長は9日の会見で「組織ぐるみでは決してない」と釈明した。一方、外部の弁護士らによる調査委員会は「個人の問題に矮小(わいしょう)化するのは相当ではなく、むしろ企業体質に関わる根深い問題が根底にある」とみている。
近ツーは4月に過大請求を公表し、調査委員会を設置した。関係者の聞き取りや会議の議事録、役員のメールやチャットを調べ、事実関係や原因分析を調査報告書にまとめた。9日に公表された。
近ツーにとって、自治体からの受託事業は、コロナ禍で売り上げが激減した旅行事業に代わり、業績を支える柱となった。
利益追求方針に「忖度」
報告書によると、2020年7月に開かれた社内の「反転攻勢会議」では、「受託事業営業への注力」が掲げられていた。経営陣からは各支店長に対し、「利益最優先」との営業方針が伝えられた。
「やること、見込み、進捗(…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル