戦争を肌身で知る世代が減りゆく中で、次の世代が戦争の体験を「引き継ぐ」という取り組みが始まっている。戦後78年が経ち、戦争の記憶が風化しつつある中で、歴史をいかに語り継いでいくか。伝えていくことへの模索が続く。
7月25日、愛知県立名古屋聾(ろう)学校(名古屋市)で開かれた平和授業「戦争体験を聴く会」。講師を務めた同市の元職員、近藤世津子さん(62)は、戦後生まれの「語り継ぎ手」だ。「私も戦争を知りません。でも、体験を引き継いでいきたいんです」という近藤さんは、「ある人」の戦争体験を語り始めた。
近藤さんが触れたのは、「戦争と平和の資料館ピースあいち」のボランティアとして活動し、2020年に89歳で亡くなった斎藤孝さんの体験だ。状況説明は最小限とし、斎藤さんの映像や文章を使いながら、斎藤さんの「語り」を再現しようとした。
「語り手」減少、高まる「語り継ぎ手」への期待
防空壕(ごう)に落ちた焼夷…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル