7年前、朝日新聞の「声」欄に「戦争と平和」のテーマで投稿した立命館大2回生の阿部瑞希さん(19)=滋賀県栗東市。戦争は「夢を奪う」「何の利益もない」と書いた。ただ、世界各地では戦争やテロが続き、終わりが見えない。自分たちができる行動とは何か。いま考えていることを尋ねた。(聞き手・武部真明)
夢を見られる世界でありたい
中学生 阿部 瑞希
(滋賀県 12)
人には夢を見る力がある。「お姫様みたいに、かわいくなりたい」「もっと勉強して学校の先生になりたい」……夢は世界中にあふれている。私にも絵本作家になりたいという夢がある。
そんな夢を奪うものがある。それは戦争だ。今、世界で内戦やテロが起こっている。それらに巻き込まれた人々は、毎日、恐怖におびえ、いつ命を狙われるかという不安の中にいて、いつの間にか夢は失われてしまうのだ。こうして、私たちが普通の日常を過ごしている間にも、戦争によって夢は失われている。
戦争は何の利益も無い。人々に恐怖や不安をもたらし、夢を奪っていくのだ。平和な世界とは、人々が安心して、自由に夢を見ることのできる世界だと思う。そんな世界をつくるには、戦争をしたらどんなことが待っているのか考え、正確な判断をすることが大切だ。
(2016年8月13日付)
身内が戦争体験、ひとごとでない
――中学1年のときに投稿してみようと思ったきっかけは。
もともと学校の課題でした。当時は立命館守山中学校です。夏に「平和と戦争」というテーマで、新聞に投稿してみようと。中学2年のときに長崎へ平和学習に行く準備として、「平和と戦争」というテーマで新聞の記事を読んだり、ディスカッションしたりする取り組みが1年から始まっていました。
小学生のころから新聞を読むのが好きで、テロや内戦のニュースを新聞で読んでいたから、戦争や平和について考えたり、家族で話したりする機会はありました。父や母から、祖父母や曽祖父が経験した戦争の話を聞いたこともあったので、そうしたことから考えたのかなと思います。
――印象に残っている話はありますか。
小学生だったときに父から聞いた話です。戦地で曽祖父の部隊が相手を殺(あや)め、穴を掘って遺体を埋めたときに、僧侶だった曽祖父が読経を始めたら、その場にいた全員が涙したそうです。敵同士だけれど、殺し合いたくない。お互いに死を悼まずにはいられないという話でした。戦争はニュースなどで知ってはいても、実際に身内が経験していたと聞き、ひとごとではないと思いました。
――新聞への投書はSNSとは違いますか。
SNSはたくさんの人に広げられると言っても、インターネットという広い海のなかで、見つけてもらえるかどうか。見つけてもらえなかったら、心にも届きません。新聞は紙という形で残るじゃないですか。だれかが保管してくれるかもしれないし、後々にもたくさんの人に届くというのは、新聞や本なのではないでしょうか。
戦争は「人災」、止められる
――戦争は「夢を奪う」と投稿に書いています。そう考えたのはどうして。
小学1年生のときに東日本大…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル