学校の「アレ」は今 (4)ソフト麺
その日、給食革命が起きた。
ミートソースのかかった「ソフト麺」。パンばかりだった給食に吹いた新しい風。
みんながおいしそうに食べている様子を、静岡県焼津市の羽山義孝さん(63)は得意げに見回した。小学4年生の頃だ。
「うちの麺なんだ」
ソフト麺が学校給食に導入されたのは、1960年代。羽山さんの家は焼津市の麺工場「羽山商店」だ。
父はこっそり、羽山さんのいるクラスに少し多めにソフト麺を納品してくれた。だから、ミートソースをかけるまえに、ソフト麺だけ食べる同級生もいた。「羽山くんの家のうどんは、ミートをかけなくてもおいしいね」。そんな言葉が誇らしかった。残ると、持って帰る同級生もいた。
「小学1年までは脱脂粉乳やクジラのショウガ焼きが出ていた。あんまりおいしくないなって思ってたから、ソフト麺の登場はうれしかったですね」
そんなソフト麺が給食から消えつつある。
中華麺やスパゲティ、うどん。給食における麺類の種類も増え、「ソフト麺は麺類全体の1割に満たないのでは」と学校給食歴史館(埼玉県北本市)の中島勝男館長(63)は話す。
でもなぜ、「ソフト麺」が給食に出るようになったのだろうか? うどんではだめだったのか?
「給食に麺を」 パン食に一石投じた製麺業界
小中学生のころ、学校でよく使っていた「アレ」。まだあるのかな。今はどうなっているのかな。20~40代の記者たちが、懐かしみながら探ってみると…教育や社会の変化が見えてきました。
「最初の頃のソフト麺には…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル