2003~08年に24代京都大総長を務めた地震学者の尾池和夫さん(83)。在任中には大学の法人化を経験し、「総長カレー」をヒットさせたことでも知られる。学生時代を含めて40年以上を過ごした母校の今に何を思うのか。京大の特徴や大学のあるべき姿を聞いた。
――京大と言えば自由の学風ですね。
自由の学風はどこかに書いてるわけでもないけれど、旧制第三高等学校以来、世間が勝手に言うてました。あらゆるところにそういう面影があるだけだけど、妙に定着してますね。
東京大の基本理念は僕も知らないけれど、京大はみんなが知ってくれてる。それは特徴であってほしいと思う。ドイツなど西洋の大学でも本来自由の学風っていうのが当たり前ですよね。今後も、自由の学風をやめようということはないでしょう。
――自由の学風に必要なことは。
思うことを、あまり口に出さなくなるとまずいですよね。「発言が自由である」ということは自由の学風と一対一で対応します。
「自由の学風」が変革の波に揺れている。霊長類研究所の解体や、講義の無料公開サイトの終了方針には反対や異論が噴出。国際卓越研究大学の選に漏れた京都大の今と行く末をどう見るか、学生や教員、卒業生らに聞いた。
交付金の削減 文化の破壊行為
――法人化は大学にとって一つの節目だったのでは。
政府は当時国会で、「交付金…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル