聞き手・後藤遼太
インターネットには膨大な情報があふれている。スマホがあれば、いろんなことを調べることができる。そんな時代に、百科事典はもう役割を終えたのだろうか。(聞き手・後藤遼太)
■百科事典はもうつくれない 斎藤文雄さん(元編集者)
かつて、居間にズラリと並んだ百科事典はステータスでした。「知のインフラ」である一方、中流家庭の裕福さを象徴する一種の「家具」だったわけです。
時代は変わりました。今はもう新たに紙の百科事典はつくれない。最大手の出版社でも難しいでしょう。
百科事典づくりはお金がかかります。私が編集に携わった平凡社「世界大百科事典」は国内最大級の百科事典。9万項目の筆者約7千人は、各界の第一人者や新進気鋭の学者らでした。原稿料だけでも膨大です。
こうした先行投資は売り上げで回収します。百科事典がビジネスモデルとして成立していた高度成長期ならいざ知らず、紙の百科事典が売れない現代において、回収は不可能です。
インテリア的に飾るだけのモノ化したことで、百科事典を「空洞化」させた側面もあるでしょう。
では、百科事典はなくなるの…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル