多数の樹木伐採が批判されている明治神宮外苑地区(東京都)の再開発について、事業者側が29日、高さ3メートル以上の木の伐採が年明け以降となる見通しを示した。当初は9月中にも開始予定だったが、より具体的な樹木保全策を伐採開始前に示すよう都に求められ、時期が後ろ倒しとなった。
再開発に関わる4事業者のうち、代表施行者の三井不動産が明らかにした。事業者側は再開発の環境影響評価書に「伐採を可能な限り回避し、保存や移植を検討」としていたが、具体策がないとして都が今月、伐採開始前の提示を求めていた。
同社によると、伐採や移植の本数見直しを検討し、具体策を示すのが年末から年明けとなる見込み。都の環境影響評価審議会に変更を報告した後で伐採を始める。再開発全体の日程への影響は「検討中」という。
再開発は、神宮球場や秩父宮ラグビー場を建て替えたり、超高層ビル2棟を新築したりするもの。837本を植樹する一方、高さ3メートル以上の木700本以上を伐採する計画に対し、環境破壊や景観悪化などを懸念する声が強まっている。
一方、同社は29日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関「イコモス」が再開発撤回を求めた文書に対し、「事実からかけ離れており、誤解を生みかねない」と反論する見解を示した。イコモスが再開発を「都市の森を完全に破壊する」とした点に対し、「『森』と称される場所はわずか」「移植や新たな植樹で樹林を復元する」という趣旨を主張するなどしている。(伊藤あずさ)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル