ベトナム・ハノイを拠点に日本の高齢者らにうその電話をかける特殊詐欺に関与したとして、大阪府警は11日、20~50代の男6人を窃盗の疑いで再逮捕し、発表した。府警によると、ベトナムを拠点にする特殊詐欺グループの摘発は全国で初めてという。
再逮捕されたのは、住居不定、無職の井上正智(52)、大阪市西成区長橋1丁目、無職の田中巨亘(きよのぶ)(56)の両容疑者ら。5人は容疑を認め、1人は黙秘しているという。
発表では、6人は共謀して7月25日、百貨店や銀行協会の職員をかたり、横浜市の70代女性宅に「クレジットカードが不正に利用されている」「キャッシュカードを新しく作り直す必要がある」などと電話。女性からキャッシュカード3枚を盗み、計約260万円を引き出した疑いがある。
府警によると、ベトナムの捜査当局が8月、情報提供に基づき、ハノイの6階建てビルにあるグループの拠点を摘発。うその電話の際に使うマニュアルのほか、東京、大阪、愛知など12都府県の約13万人分の名前や電話番号、住所などが書かれた名簿が押収された。マニュアルには、百貨店従業員を装う敬語による想定問答が書かれ、名簿の大半は高齢者の個人情報だったという。
府警は8~9月、6人を窃盗未遂容疑で逮捕。同一グループによる事件は大阪府内だけで少なくとも50件(被害総額約7200万円)確認したといい、井上容疑者が特殊詐欺の「かけ子」グループのリーダーとみている。(高井里佳子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル