世界農業遺産「高千穂郷・椎葉山地域」のアンバサダー(宣伝大使)でアルピニストの野口健さん(50)が23日、高千穂町立田原小に現れ、児童と一緒にコメの脱穀をした。
高千穂町は日本有数の棚田が広がり、世界農業遺産に認定されている。同校は夏前の田植えから今月の稲刈り、乾燥まで全て手作業でやり、この日を迎えた。
野口さんの同席を知らされていなかった子どもたちは姿を見ると大歓声。早速①牛乳パックで脱穀②すり鉢に入れソフトボールでもみすり③口で吹いてもみ殻飛ばし④コメを瓶に入れ棒で突いて精米――の、身近な道具を使った作業を、野口さんのアドバイスを受けながらこなした。
その後、野口さんを囲み、地球温暖化がヒマラヤの氷河を溶かしていることや、現地の農家もまだ同じように手作業でコメ作りしていることに聴き入った。
4年の佐藤結香さん(10)は「すり鉢でするのに力が要った。昔の人は大変だったなと思う」。世界農業遺産になっていることを知らない子が多かったが、野口さんは「いまは実感できなくても、きょうの体験を通して、いつか故郷のすばらしさを思い返す日が来る」と話していた。(星乃勇介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル