立てるとへにょへにょして、積み上げると雪崩を起こす――。
熊本大学文学部の池川佳宏准教授は、背表紙のない「中とじマンガ雑誌」の扱いに手を焼いていた。
青年漫画誌などに多いタイプの雑誌で、ホチキスで二つ折りにした紙の中央をとめて製本してあるものだ。
池川さんが所属するのは、大学の国際マンガ学教育研究センター。昨秋開設され、マンガ文化の研究のほか、マンガのアーカイブ化、マンガを生かした地域づくりなどをすすめている。
マンガ雑誌は研究資料であり、地域活性化のタネ。必然的に大量に扱うことになる。
困っていたのは、山のようなバックナンバーをどう管理して、効率的に収納するかだった。
なかでも中とじマンガ雑誌は、本棚に立てようとしても、たわんでうまく立たない。表紙がつるつるしていることが多く、横にして積み上げると、まもなく崩れてしまう。
既存の段ボール箱を使って整理してみたが、隙間があれば曲がりの原因になり、いっぱいにすると重くて持ち運びが大変になった。
図書館などでは、背表紙部分を切って何冊かまとめた「合本」にして管理することが多い。だが、そうすると背表紙にある編集長の名前などの情報が失われてしまい、研究に適さなくなる。
ないなら、つくろう。
池川さんは、マンガの単行本向けにあった段ボール製のケースをヒントに、熊本県内の段ボールを扱う企業と協力して、専用の収蔵箱を考えた。
できた箱は、青年誌などに多…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル