36人が死亡した京都アニメーション放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判が6日、京都地裁であり、検察側の中間論告と弁護側の中間弁論が行われた。最大の争点の刑事責任能力をめぐり、検察側は「完全責任能力があるとの結論は変わらない」と訴え、弁護側は「間違いなく責任を問えるとは言えない」と反論した。
検察側と弁護側は、事件当時の青葉被告に「京アニから小説のアイデアを盗用された」「闇の人物から監視されている」などの妄想があった点では一致している。だが、犯行への影響の程度で意見が分かれている。
検察側は「影響は大きくない」と主張。責任能力を判断する際、①善悪を区別できたか②犯行を思いとどまれたか――の2点が問題になるとし、①は、青葉被告が被告人質問で「放火殺人は重大犯罪。良心の呵責(かしゃく)があった」と語り、精神鑑定を行った医師2人が「犯罪と理解できていた」と証言したことも踏まえ、問題にならないとした。
②について、青葉被告が事件直前、現場近くの路地に座り込み、十数分間考え事をしたとの証言から、「それだけためらいが大きかった。犯行を思いとどまることができたと評価すべきだ」と指摘。青葉被告が自身の半生を振り返り「あまりに暗い」と考えた点に着目し、「犯行前に逡巡(しゅんじゅん)した際の思考に、妄想の影響があったとは到底言えない」と強調した。
また、多くの人を巻き込む放…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル