本多由佳
東京都教育委員会が中学3年生を対象に26日に実施する英語スピーキングテストをめぐり、テスト結果の都立高入試活用に反対する大学教授らが6日、記者会見を開いた。昨年初めて入試に活用された同テストで、受験生らから「端末に他の受験生の声が録音されていた」などの指摘があったことについて、「何も対策がなされていない」と訴えた。
テストは都内の公立中学3年生約8万人を対象に実施し、結果は都立高入試の合否判定に活用される。テストでは、防音用のイヤーマフを着用し、タブレット端末にマイクを通じて解答音声を吹き込む。
今回までは通信教育大手のベネッセコーポレーションが運営を担い、以降は英国の公的な国際文化交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」が引き継ぐ。
会見した武蔵大の大内裕和教授らは、「私企業ではあるが、都立高入試という公共性の高い事業に関わってきた。(ベネッセの撤退理由について、ベネッセと都教委には)説明責任が求められる」と強調した。
また、昨年のテストで受験生らから寄せられた問題点の改善が不十分だ、と指摘した。昨年のテスト後に大内教授らが実施した調査には、イヤーマフ越しに他人の解答が聞こえたとの証言が寄せられていた。
都教委が今年9月、イヤーマフの装着方法を説明する文書を中3生に配布したことについても、「正しく装着しても他人の声が聞こえたという証言の真偽を確かめる、という我々が要望した確認作業をしていない」などとして、「対応が不十分」と指摘した。
都教委は取材に「イヤーマフの操作に慣れない生徒の不安を払拭(ふっしょく)するため、事前に使い方を周知した」と説明。また、仮に端末に他人の音声が録音されたとしても、受験生本人の音声は識別できるとしている。ベネッセの撤退理由の説明を求められていることについては、「企業の判断なので、申し上げる立場にない」と回答した。(本多由佳)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル