ふるさとの離島で過ごした思い出と、書店員として過ごす現在の日常をリンクさせてつづったエッセーをネットにあげていたら、作家デビューにつながった。作者は「現実味がない」と語るが、自分の文章に読者が共感し、昔の記憶を思い出してくれることに喜びを感じている。
利尻島出身の工藤志昇(しのぶ)さん(35)は「三省堂書店札幌店」の書店員。
新型コロナの流行をきっかけに、エッセーを書き始めた。家の中にこもる時間が多くなり、暇を持て余していたからだ。
仕事中、ふとした瞬間に故郷の島の記憶がよみがえることがあった。
中学卒業まで生まれ育った利尻島は帰省でたまに帰るだけ。島を出てから過ごす時間のほうが長くなった。このまま子どものときの記憶を忘れてしまうのだろうか。
当時の「退屈な記憶」を形に残したくなった。
2021年ごろから、1カ月…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル