色鮮やかなイタリア野菜をフォークで口に運びながら、横に目をやると、見上げるような巨体がまわし姿でぶつかり合う――。そんな不思議な空間がこの時期だけ、福岡県久山町に現れる。
大相撲九州場所中の宿舎を町に構える湊部屋の稽古場だ。ガラス戸を隔てた隣は、地元でイタリア野菜を作る農家が営む朝食専門レストラン「キッキリッキー」。知らずに食事に来て驚く人もいるという。
家族で訪れた福津市の小学6年小川耕ノ介くん(12)は土俵を動きまわる力士のスピードに驚きながら、「おしゃれなお店のガラスの向こうにこんな世界があるなんて。不思議な境界線」。姉で中学3年のあかりさん(14)は「イタリアンと相撲って、新感覚。でも、案外合う。本場所も見に行きたい」と稽古に見入った。
部屋頭の諒兎馬(あきとば、24)は「最初は戸惑いました。でも、格好つけようと思って、気合が入ります」と笑う。
九州場所は19日で中日。まだしばらく、この光景を楽しめる。(岩田誠司)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル