群馬県の山本一太知事は23日の会見で、家畜伝染病予防法に基づく豚(とん)コレラワクチンの接種を早ければ27日にも始めると明らかにした。
県によると、対象は約63万頭の全飼育豚。まず、17カ所ある監視対象農場の約8千頭から着手する。獣医師ら4人1組で作業を進め、来年2月末までの完了を目指す。接種済みの飼育豚は基本的に感染しないとされる。
ワクチン接種が月内にも始まる見通しとなり、飼育豚の豚コレラ感染リスクはひとまず後退することになった。しかし消費者が今後、接種豚を敬遠する「風評被害」が新たに起きない保証はない。関係者は引き続き難しい対応を迫られそうだ。
山本一太知事が先手を打つ形で動いたのは、関東各都県の連携だった。東京都を除く各県知事とテレビ会議などを矢継ぎ早に行い、関東一律でのワクチン接種実施を国へ要望することで既に足並みをそろえた。
現状では、感染事例がない自治体は飼育豚への接種ができない。しかし、感染の有無に関係なく関東一律で接種すれば、少なくとも関東圏では、養豚県・群馬が流通面で打撃を受ける可能性が減る。
感染が確認された県の隣接県なども「自県内の発生は時間の問題」と警戒する。予防的な接種を前倒しすることで養豚農家を守りたいというのが、各知事共通の考えだ。
だが、江藤拓農林水産相は隣接県などの接種について「衛生管理が基本。接種は抑制的であるべきだ」と発言しており、関東一律実施は今のところ困難な情勢だ。
山本知事は近く、大消費地・東京都の小池百合子知事と会談する。「関東各都県が一致して国に要望していく」としており、国が柔軟姿勢に転じるか今後の展開が注目される。(柳原一哉)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース