昨年の冬、取材先で自家製の「合わせ柿」をいただく機会があり、甘くやわらかな味わいに驚いた。ドライアイスを使い、渋柿から渋を抜いたものだという。どんな仕組みなんだろう。柿の季節の到来に合わせて、作業を見学した。
11月上旬に訪ねたのは、広島県福山市内で古書店を営み、朝日新聞の広島・備後版でコラムを書いている佐藤明久さん(74)の自宅だ。庭に2階建ての家と同じくらいの高さの愛宕柿と西条柿の木があり、だいだい色に輝く柿が鈴なりに実っていた。
旧制中学で理科の教師をしていた、佐藤さんの妻・博子さんの祖父が戦前に植えたものだそうだ。「戦時中の福山空襲で一部が焼けても、生き残ったと聞きました」と佐藤さん。二つとも渋柿で、毎年、家庭で渋抜き作業を行っている。
使うのは新聞紙、段ボール紙…
昨年、合わせ柿をいただいたお礼を兼ね、まずは記者2人で収穫を手伝った。普段から写真撮影のために脚立を利用してはいるものの、上段に上がり、腕を伸ばして枝切りばさみを操るのはバランスが難しい。
おっかなびっくり1時間半ほ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル