大阪市立田島南小学校の「生きる」教育では、1年生はプライベートゾーンを学ぶ。9月、養護教諭の木田実佐子先生(26)がプリントを配りながら、「今日のめあては、自分の体と心を大切にする方法を考えよう、です」と呼びかけた。
黒板の左側に男の子と女の子の絵を貼ると、ナオトさんが一番前の席で「ね~。女の子の足、傷ついているよ」と声を上げた。
木田先生が、同じ絵が入ったプリントで、危ないと思うところに○をつけるよう指示してから、「聞いていこうかな~」と言うと、パッと手が上がった。
リンさんが「(持っている)傘が上を向いていて危ない」と発言すると、ナオトさんが「下に向けないと危ない」と口をはさむ。ショウさんが「くつひもとれてる」と言うと、「ちゃんと結ばないと簡単に脱げちゃう」とナオトさん。「くつのかかと踏んでる」「帽子かぶってない」「名札つけてない」などの指摘も次々と出た。
木田先生が「この子たちのお顔はどうなっている?」と問うと、リンさんが「女の子が悲しい顔している」。すかさずナオトさんが「男の子は怖い顔」と続けた。「なんでこんな顔をしているのだろう?」と問うと、「しんどいから」「イライラしている」「だれかとケンカした」「人に嫌なことされたから」「こけたから」と次々と答えが返ってきた。
「いやな気持ちでなくなることを安心というよ。安心するためにはどうする?」と問うと、タカさんが「ママに言う」。タイチさんが「みたらし団子を食べる」と言うと、笑い声があがった。
水着で隠れている体の大切な場所
続いて、木田先生は黒板の右側に、体操服を着た男の子と女の子の絵を貼った。手足や服についた汚れを清潔にする方法を話し合った後、女の子の服がはがれ、一瞬パンツ一枚の姿になった。
「キャー」
教室中に悲鳴が上がった。
「生きる」教育は、大阪市立生野南小学校(現・田島南小)で開発された、独自の教育プログラムです。自己肯定感を高め、自分と相手を大切にする方法を学ぶことを目指しています。9、10月に各学年で行われた授業を取材しました。9回にわたってお届けします。
木田先生が尋ねる。「なんで…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル