その村内に広がる畑で、和田晴輝さん(50)は四つんばいになり、はうように移動していた。
持病で片方の肺は動かず、50メートル歩くと息切れして顔が真っ青になることもある。畑で歩けなくなると、少しでも楽に動けるよう四つんばいになる。
そんな状態でも、和田さんは農作業をやめなかった。
どうしても、育てたいカボチャがあったからだ。
東北の村とのつながり、ぽくぽくとしたカボチャとの出会い
和田さんが暮らす東峰村は2017年、九州北部豪雨に襲われた。記録的な大雨によって各地で土石流が発生。福岡と大分の両県で死者・行方不明者は計42人にのぼり、村でも3人が犠牲になった。
和田さんの自宅も土石流にのまれ、建物の基礎部分まで流された。家の柱は約2キロ先で見つかったが、駐車していた車はいまだに見つかっていない。
被災した東峰村でカボチャを育て始めたものの、持病を抱えた和田さんは「何度も諦めようと思った」と話します。それでも、ともに戦う東北の村への思いが、背中を押しました。
被災者向けの住宅が建設され…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル