森下裕介
自閉症の娘(24)の代わりに投票用紙を投じたとして、公職選挙法違反の罪に問われた母親(61)に対する控訴審判決が5日、大阪高裁であった。石川恭司裁判長は、罰金10万円とした一審・大阪地裁判決を支持し、母親側の控訴を棄却した。
判決によると、母親は2020年、大阪市を廃止して特別区に再編する「大阪都構想」の住民投票で、娘とともに大阪市淀川区役所の期日前投票所を訪れ、娘の投票用紙を投じた。
公選法では心身の障害などによって自筆で投票できない人のため、「代理投票」の仕組みが整えられている。だが、実際に代理を担うのは投票所の職員で、親族らには認められておらず、母親は公選法違反(投票偽造)の罪で在宅起訴された。
母親側は、娘が車いすを職員に押されたり、職員から意思表示の方法を否定されたりして「パニックにならないかと焦った」と説明。とっさに自分の投票用紙と、無記入の娘の投票用紙を投じたが、「やむを得ない行為だった」として、無罪を主張した。
今年3月の地裁判決は、投票所職員らの証言を踏まえ、娘が投票の意思表示をしていないのに母親が投票用紙を投じたと認定。職員の説明などで違法性の認識もあり、1票とはいえ「投票の厳正さが害された」として、罰金10万円(求刑罰金20万円)の有罪とした。(森下裕介)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル