神戸市で食料品や化粧品などの卸売会社を営む男性(40)は、ため息をついてつぶやいた。
「今まで築き上げてきたものが壊された」
前触れなく動悸(どうき)や息苦しさに襲われ、電車に乗れない日があった。ベッドで涙が止まらず、眠れない夜が続いた。
始まりは2019年2月下旬、会社のパソコンに届いた1通の営業メールだった。
――他社よりも安い卸値となっております
送り主はインターネット通販会社「ライフワークスホールディングス」(東京都新宿区)。大手ドラッグストアと共同仕入れで低価格を実現したとうたっていた。
男性はさっそく商品を注文した。他社より5~10%ほど安かった。「良い取引先を見つけた」と思った。
ところが、次第に商品の発送が滞っていった。
ライフ社の名前をネットで検索した。こんな言葉が目に飛び込んできた。「詐欺に注意」「だまされています」
すでに約4400万円分の商品を注文していた。パソコンを打つ手が震え、冷や汗が止まらなかった。
ネット通販の利用者が増えた一方で、商品が届かないなどのトラブル相談が増えています。年末にかけて被害が増える可能性も。記事後半では、個人ができる対策も紹介しています。
■やってきた「田中」名乗る男…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル