岸田文雄首相が14日、閣僚らの交代に着手する。9月の内閣改造で「適材適所」と胸を張った布陣は問題が相次ぎ、派閥の裏金疑惑も直撃した。人事はなぜ失敗したのか、どうあるべきなのか。
安倍派の重用、裏目に
「派閥に配慮しすぎて裏目に出た典型的なケースだ」と話すのは、自民党本部に約20年勤めた経験がある政治アナリストの伊藤惇夫さん。伊藤さんによると、首相は政権発足以来、人事によって政権運営を安定させることに腐心し、各派閥の実力者を閣僚や党幹部に登用してきた。
「『適材適所』というのは表向きで、岸田首相は最大派閥の安倍派を人事で重用することで、党内のライバルによる反乱が起きないようにしたのだろう」
一方、派閥に配慮するあまり、入閣候補者らの「身体検査」が不十分だったのではないかとみる。内閣人事では通常、事前に内閣情報調査室などの調査機関を使い、議員が不祥事などを抱えていないか調べるという。
しかし9月以降、女性と不適切な関係があった文部科学政務官や、公職選挙法で禁じられる有料ネット広告の利用を勧めた疑いのある法務副大臣、税金を滞納した財務副大臣の不祥事が相次いで発覚する「辞任ドミノ」が起きた。
さらに派閥による裏金疑惑では、安倍派を中心に複数の閣僚や自民党幹部の名前が取りざたされている。伊藤さんは「身体検査では見抜けないレベルの大問題」と断ったうえで、「もはや人事を刷新しても国民の信頼は回復できない」と話す。
縁故で人事、「会社はおかしくなる」
「岸田首相は早く各派閥から…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル