1月1日夕に発生した石川県能登地方を震源とする強い地震を受け、海沿いにある同県珠洲市の宝立町鵜飼(うかい)地区では、電信柱が傾き、立ち並ぶ住宅は屋根が落ちてつぶれていた。
住民によると昨夜、津波が押し寄せてきたという。道路には海藻が落ちており、周囲には海水と泥のにおいが立ちこめている。押し流されたとみられる自動車が、道に泥をかぶった状態で放置されている。
この地区に住む鹿野泰弘さん(50)は1日午後4時ごろ、自宅のリビングで地震に見舞われた。「最初は震度4、5の揺れでいつも通りと思っていたら、まもなく縦揺れが来て、家が崩れていった」
別室にいた母親(79)が下敷きになりかけたが「外出て!」と叫んだところ、ギリギリで避難が間に合ったという。2階建ての自宅は、コンクリート造りの玄関と廊下を残し、木造の居間などは屋根に押しつぶされてしまった。
歩いて15分ほどの高台にある廃校跡に向かったが、屋根が壊れていた。昨夜はテントを張り、たき火をしてしのいだという。
今朝は近くの学校にある別の避難所へと移ったものの、食料がしだいに尽きてきているという。鹿野さんは「家は全部倒壊してしまった。これからどうなるんだろう。復興までどれぐらいかかるかも分からない。不安しかないです」と声を落とした。(西晃奈)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル