1月1日夕に起きた能登半島地震。生存率が落ち込むとされる「発生後72時間」が過ぎ、消防や自衛隊が懸命な救助活動を続けています。タイムライン形式でお伝えします。
■■■1月5日■■■
17:00
東芝パワー半導体工場、10日に一部生産再開見込み
東芝は5日、能登半島地震で被災し、操業を停止している石川県能美市のパワー半導体工場について、10日の一部再開をめざすと発表した。全面復旧の時期は未定。
工場の建屋や主な設備に大きな問題はなかったが、排気用の配管が広範囲にわたり破損しているという。工場は1日も稼働していたが、地震発生を受けて停止し、状況を確認していた。
16:50
石川など3県で7万7千戸の断水続く
厚生労働省は5日夕方時点の被害状況を発表した。石川、新潟、富山の3県で、計7万7519戸で断水が続いている。医療機関では、石川県の11施設、富山県の3施設で、水や医療用ガスが使用できない状態となっている。
断水戸数は、石川県が最も多く6万8千戸余りに上る。同県七尾市で約2万1500戸、同県輪島市で約1万戸、富山県氷見市で8900戸などとなっている。
16:00
3連休、馳知事「能登への通行はやめて」
石川県の馳浩知事は、災害対策本部会議で、能登半島の復旧を進めるため、6日からの3連休について、「民間ボランティア、個人的な能登への通行はやめて」と呼びかけた。自衛隊、消防、警察、医療関係者の緊急車両を優先するためという。
会議後の報道陣の取材では、「我々は人命救助を諦めていない。親戚を見に行きたい、炊き出しに行きたいという気持ちは分かるが、物資は既にだいぶ入っている。車で駆けつけることは絶対にやめていただきたいというのが本音です」と語った。
拡大する災害対策本部会議後、報道陣の取材に応じる馳浩知事=2024年1月5日午後5時ごろ、石川県庁、土井良典撮影
14:00
石川県の死者、94人に
石川県は5日午後2時時点で、県内で94人の死亡が確認されたと明らかにした。
県によると、死者は輪島市で55人、珠洲(すず)市で23人、穴水町で6人、七尾市で5人、能登町で2人、志賀町で2人、羽咋(はくい)市で1人。行方不明者は珠洲市で1人となっている。地震のためとは断定できないが連絡が取れなくなっている安否不明者は222人。重軽傷者は464人という。
12:00
将棋の谷川十七世名人、被災経験ふまえ黙とう
関西将棋会館(大阪市福島区)では将棋の「指し初め式」の後、乾杯の音頭を任された谷川浩司十七世名人(61)が「『おめでとうございます』と申し上げることも、はばかられるほど、元旦から辛いニュースが続きました」と切り出し、集まった棋士や女流棋士たちと約30秒の黙禱(もくとう)を捧げた。
自身、神戸市出身・在住で阪神淡路大震災で被災した経験をふまえ、「私自身の経験でもあるんですけれども、このような時にこそ、自分が出来ることをする、というのが一番と思っております。原点、初心に帰って、将棋道に精進していくことが私たち棋士の務めだと考えております」とあいさつ。「被災された皆様がたに、一日も早く平穏な日々が訪れますように」と述べた。
拡大する新春恒例の「指し初め式」後、能登半島地震への黙禱を促す谷川浩司十七世名人=2024年1月5日午後、大阪市福島区の関西将棋会館、佐藤圭司撮影
11:35
予備自衛官ら100人に招集命令、現地で活動へ
木原稔防衛相は被災地支援を拡充するため、非常勤隊員の「予備自衛官」と「即応予備自衛官」の合計最大100人を現地に送ると発表した。防衛省で記者団に語った。衛生活動を行う看護官などが含まれるという。
予備自衛官や即応予備自衛官は、普段は民間企業などで働きながら、大規模災害時などに招集される。防衛省によると、準備が整い次第、順次現地で活動を始めるという。
また木原氏は、被災地で活動する自衛隊員を4日から400人増員し、約5千人態勢としたことも明らかにした。木原氏は「生存者がいらっしゃる希望を最後まで強く持ち続け、一名でも多くの命を救うべくあらゆる手段を尽くして全力で活動していく」と述べた。
11:30
孤立は「珠洲市で713人」 林官房長官
林芳正官房長官は記者会見で、石川県の被災地で交通網の寸断により孤立している人の数について、4日午後4時現在で珠洲市713人▽能登町36人▽穴水町21人▽七尾市10人――との報告を受けていると明かした。一方、輪島市については「確認中と承知している」と述べた。
林氏は「被災した道路状況等により、人数の把握には時間を要している」との認識を示したうえで、「自衛隊、警察、消防のヘリを活用した支援等を継続していく」と強調した。
また、現地からの要望を待たずに物資を送る「プッシュ型」の支援について、4日から新たに石油ストーブ、毛布、携帯トイレなどをトラックで発送していると説明。過去の震災を参考に仮設トイレの配備計画も作成し、「計448基の早期配備を目指す」と述べた。
10:20
岸田首相、仮設住宅と災害公営住宅の建設準備を指示
岸田文雄首相は非常災害対策本部会議を首相官邸で開き、「仮設住宅と災害公営住宅を必要数、建設できるように準備を」と関係閣僚に指示した。災害廃棄物の処理の準備を急ぐよう求めたほか、事業者の支援の重点課題については、①中小企業②農林漁業者③観光復興――を挙げた。
また、被災地の現状について「自治体からの情報によると、相当程度の孤立集落や、安否不明者がいる」と指摘。「明日以降、雨や雪の日が続くことが見込まれる。食料や生活関連物資の調達と輸送を加速させ、ニーズに即してきめ細かに行ってください」と述べた。
10:00
輪島市や珠洲市など12市町、成人の日の行事開催を取りやめ
石川県は、「二十歳のつどい」など成人の日記念行事について、能登半島地震の影響で、輪島市や珠洲市など能登地方の12市町が開催を取りやめると発表した。
いずれも7日に開催を予定していた自治体。両市のほか、七尾市、羽咋市、かほく市、津幡町、内灘町、志賀町、宝達志水町、中能登町、穴水町、能登町。金沢市など7市町は予定通り開催する。
10:00
石川県内の死者92人に 避難者は3万3千人
石川県は5日午前8時時点で、県内で92人の死亡が確認されたと明らかにした。
県によると、死者は輪島市で55人、珠洲(すず)市で23人、七尾市と穴水町で各5人、能登町2人、羽咋(はくい)市と志賀町で各1人。行方不明者は珠洲市で1人、穴水町で15人となっている。地震とは断定できないが連絡が取れなくなっている安否不明者は242人。重軽傷者は464人。避難者数は約3万3千人という。
09:30
輪島市内でこれまでに79人救出 市長が会見
石川県輪島市の坂口茂市長は市役所での記者会見で、これまでに市内で倒壊した家屋などから79人が救出されたと明らかにした。
坂口市長は「特に家屋倒壊による安否不明の緊急通報が相次いでいる」「行方不明の方の安否確認は最重要課題として、関係機関と連携して把握に努めていく」と述べた。
08:00
石川県内での広域緊急援助隊、1100人に増員
警察庁の非常災害警備本部は5日、石川県内で救助活動にあたる広域緊急援助隊を、16都府県警の約700人から24都府県警の約1100人に増員したと発表した。同隊ではこれまでに、石川県警とともに27人を救助したという。
また愛知、岐阜、福井、三重の4県警からは、パトロール活動をする部隊を約30人、避難所を回り被災者への防犯指導などにあたる部隊を約10人、それぞれ石川県へ派遣する。県内で発生した窃盗事件などを捜査する部隊も創設し、愛知と岐阜の両県警から約10人が派遣される。
04:40(ワシントン4日14:40)
米国防総省「在日米軍、支援の用意ある」
米国防総省のライダー報道官は4日、能登半島地震をめぐり、「在日米軍は必要に応じて支援する用意がある」と述べ、日本政府の要請があればただちに派遣する考えを示した。
ライダー氏は会見で「我々の心は日本の人々とともにある」と述べ、日本政府から支援要請があった場合、「どのように支援できるかを(日本側と)議論している」と明らかにした。ただ、ライダー氏は日本政府から要請を受けたかを問われ、「具体的な要請があれば状況を知らせる」と説明。実際に支援活動をするかについては、米国務省報道官も取材に「日本政府と緊密に連絡を取っている」と述べ、詳細は明らかにしていない。
岸田文雄首相は4日の記者会見で、米国を含む主要7カ国(G7)や中国、台湾などからお見舞いや支援の申し出があったとした上で、受け入れ態勢構築の必要性や現地の状況に鑑みて、「人的・物的支援については一律に現時点では受け入れていない」と説明している。
■■■1月4日■■■
20:45
安否不明、7市町で179人 石川県発表
石川県は4日午後6時時点の集計として、能登半島地震の安否不明者が7市町で計179人にのぼったと発表した。
内訳は輪島市が93人、珠洲市が68人、穴水町が9人、七尾市が3人、能登町が3人、志賀町が2人、金沢市が1人。
20:00
石川県が義援金募集開始、期間は1年間
石川県は4日、能登半島地震について義援金の募集を始めた。期間は12月27日まで約1年間とし、市町を通じて被災者に届ける。
振り込みの場合は北国銀行県庁支店の普通預金口座28593。口座名義は「石川県令和6年能登半島地震災害義援金」。
県庁1階と県の東京事務所、大阪事務所、小松県税事務所に募金箱も設けた。
17:40
石川県内の死者84人 安否不明は79人
石川県は4日午後3時時点で、県内で84人の死亡が確認されたと明らかにした。
県によると、死者は輪島市で48人、珠洲(すず)市で23人、七尾市5人、穴水町4人、能登町2人、羽咋(はくい)市と志賀町で各1人。重軽傷者は305人。避難者数は約3万3500人という。
安否不明者は午後2時時点で79人。
16:30
石川・七尾市、はたちのつどい中止を発表
石川県七尾市は、地震の影響で7日に七尾市文化ホールで予定していた「はたちのつどい」を中止すると発表した。対象者は約430人。今後、別の日程で開催するかどうかについては「状況をみて判断する」(市スポーツ・文化課)としている。
16:00
富山から輪島に帰省、中学1年男子生徒が死亡
富山市教委は4日、石川県輪島市の親族宅に帰省中だった富山市立中学1年の男子生徒が、1日の地震で建物の倒壊に巻き込まれて亡くなったと明らかにした。
市教委が2日に各学校に安否確認を依頼し、4日にわかった。市教委によると4日午後4時現在で小中学生230人の安否が確認できていない。担当者は「旅行中などで学校からのメールを見ていない場合もあり、全てが被災しているとは考えていないが、学校が再度連絡を急いでいる」と話した。
12:40
災害派遣医療チーム76隊で支援 11万戸超で断水続く
厚生労働省は4日、同省の第4回災害対策本部会議を開き、同日朝時点の被害状況と被災地の支援体制を公表した。災害派遣医療チーム(DMAT)は、特に避難患者が多い石川県の市立輪島病院、珠洲市総合病院、公立能登総合病院の3病院を中心に計76隊が活動している。
医薬品については、陸路で石川県穴水町の公立穴水総合病院などに供給している。4日に人工透析を予定していた患者に関しても、陸路や空路で搬送を手配している。
また、石川、富山、新潟の3県内では、11万戸以上で断水が継続中。石川県では12の医療機関で断水が続いている。
11:45
自衛隊の揚陸艇で救助活動用の重機到着
木原稔防衛相は、海上自衛隊の輸送艦から救助活動に使う重機や支援物資を積んだエアクッション型揚陸艇「LCAC(エルキャック)」が4日午前、石川県輪島市内の大川浜に上陸し、重機などを下ろし終えたと発表した。
また、3日までの活動実績として、人命救助・患者搬送122人、道路啓開約4キロ、給水支援67トン、被災地に向かう警察官・消防隊員359人の輸送、糧食約5千食や毛布約1150枚の輸送などを挙げた。
拡大する海上自衛隊のエアクッション型揚陸艇「LCAC(エルキャック)」で運ばれ、救助作業に向かう重機=2024年1月4日午後0時7分、石川県輪島市、朝日新聞社機から、小林正明撮影
11:50
「自衛隊員を倍増」 首相が支援強化を表明
岸田文雄首相は首相官邸で記者団の取材に応じ、4日夕に生存率が下がるとされる「発生後72時間」となることを踏まえ、「現場の総力を挙げて一人でも多くの方の救命救助を目指していく」と語った。救助活動のほか、避難所などを回ってきめ細かにニーズを把握するため、自衛隊員を2千人から4600人に増強する方針も示した。
首相は同日午前7時現在の被害状況について、死者73人、安否不明者15人、重傷者19人、軽傷者222人と説明。警察で確認している要救助事案は138件で、このうち65件の対応を終了し、49件については対応中か同日中に対応の具体的な見込みが立っているとした。道路の状況などでアクセスが困難な24件についても「ヘリなどあらゆる手段を用いてアクセスすることを試みている」と説明した。
寒冷対策など避難所での支援強化に予備費を使うことを9日に閣議決定する方針を明らかにした。規模については「過去の事例と比較しても倍近くになる」と語り、40億円規模になるとの見通しを示した。
10:45
岸田首相、「72時間まで総力挙げて救命を」
政府の非常災害対策本部会議が首相官邸で開かれ、岸田文雄首相は「命を守る観点から重要な被災72時間が経過する本日夕刻までに、現場の総力を挙げて一人でも多くの方を救命救助できるよう全力で取り組んでほしい」と指示した。
首相はまた、「避難所に多くの物資を円滑に届けるためにも、道路の復旧など輸送面の課題の早期解消を目指してほしい」と語った。
09:30
津波による行方不明者、海保が初確認 捜索中
海上保安庁は4日午前に開催された石川県の災害対策本部員会議で、同県珠洲市宝立町で1人が津波で流されて行方不明となり、捜索していることを明らかにした。海保によると、今回の地震による津波で行方不明者が確認されたのは初めて。
09:30
石川県内の死者78人、避難者3万4千人
石川県などは4日午前8時時点で、県内で78人の死亡が確認されたと明らかにした。
県などによると、死者は輪島市で44人、珠洲(すず)市で23人、七尾市で5人、能登町と穴水町で各2人、羽咋(はくい)市と志賀町で各1人。重軽傷者は330人。避難者数は約3万4千人という。
09:00
石川県で通信不通エリア拡大の恐れ 電力枯渇で
NTT西日本は4日午前、能登半島地震の影響で停電している石川県の一部地域について、非常用電力が枯渇し、固定電話やインターネットなどの通信サービスが使えない範囲が広がる可能性があると発表した。一部地域ではすでに非常用電力が枯渇し、通信サービスが使えていない。
石川県内では輪島市、珠洲市の一部で通信サービスが止まっている。これから非常用電力が枯渇する恐れがあるのは、4日午後5時までに輪島市の一部、5日午前1時までに輪島市と穴水町、能登町の一部。対象地域では不通エリアが広がる可能性がある。
被災地では配電設備の損傷などで停電が続いている。NTT西日本は、通信ビルにある蓄電池や発電機、移動電源車などを活用して非常用電源の工面を続けている。
09:00
石川県知事が年頭あいさつ「私たちは24時間、危機管理官」
石川県の馳浩知事は県庁での年頭あいさつで、1分間の黙禱(もくとう)後、幹部職員を前に「私たちは1年、365日、24時間、危機管理官です。県民の命を守るために、何ができるのか、『石川県にいて良かった』と思ってもらえるよう、頑張りたいと思う。これから国と県、市、町のみなさんと協力して情報を共有し、私たちで政策立案、実行し、評価をしていく。その繰り返しを続けていきたいと思う」と述べた。
拡大する幹部職員を前に年頭あいさつをする馳浩・石川県知事(左)=2024年1月4日午前9時7分、石川県庁、朝倉義統撮影
■■■1月3日■■■
16:30
穴水町と志賀町に大雨警報
気象庁は3日夕、石川県穴水町と志賀町に大雨警報(土砂災害)を発表した。能登半島では4日朝まで土砂災害に警戒するよう呼びかけている。
地震の揺れで地盤が緩んでいるため、少しの雨でも土砂災害の危険度が高まる可能性がある。
13:00
石川県の死者は73人に
石川県は3日午後3時時点で、県内で65人の死亡が確認されたと発表した。県の集計では輪島市で32人、珠洲市で22人とされたが、その後、輪島市で7人増の39人、珠洲市で1人増の23人となったことを各市長が明らかにした。県内の死者は計73人になる。
県によると、輪島市と珠洲市以外の死者は七尾市が5人、穴水町と能登町が各2人、羽咋市と志賀町が各1人。
重軽傷者は323人で、避難者は約3万3400人という。
13:00
石川県を中心に3万4千戸で停電
斎藤健経済産業相が記者会見を開き、午前11時時点で石川県で3万4千戸の停電が発生していることを明らかにした上で、「地面の状況が悪く、復旧には時間を要する見込みだ」と述べた。
経産省によると、現在の停電は送電線や変電所によるものではなく、配電設備の損傷が大きな原因。北陸電力は関西、中部各電力の応援を含めた3600人態勢で復旧作業を進めている。斎藤経産相は「本日中に巡視の完了を目指しているが、巡視が完了しても電源車がなかなか中に入れない場合がある」と説明。「今の時点で(停電解消の)見通しを申し上げることは難しい」と述べた。
11:30
3県で11万5千戸が断水
厚生労働省は3日朝時点の被害状況を発表した。石川、新潟、富山3県で計約11万5千戸で断水している。また、3県で計120の高齢者施設が被災し、石川県内では103施設が断水、17施設が停電している。
断水は一部復旧している地域も出ているが、石川県七尾市で約2万1500戸、同県津幡町で約1万5千戸、富山県氷見市で約1万4千戸。石川県能登町や穴水町の断水状況は調査中。
11:30
松本総務相、総括支援チームの派遣方針を示す
総務省が非常災害対策本部会議(本部長・松本剛明総務相)を開き、石川県に入っている小森卓郎政務官がテレビ電話で「被災している市町から、食料が届いていないという声を聞いている。仮設トイレにも非常に強いニーズがある」と報告した。携帯電話が通じないことが避難所などで対応する際の課題になっていることも説明した。
松本総務相は、災害対応の知見がある他県の自治体職員による「総括支援チーム」を現地に派遣することなど対応方針を示した。関係機関が事業者と連携して、通信インフラの早期復旧をめざすことなども指示した。
11:15
首相「まさに今、正念場」 救助要請130件
岸田文雄首相は首相官邸で記者会見し、「地震の発生から40時間以上が経過した。被災者の救命救助は時間との闘いであり、まさに今、正念場であると感じている。人命第一で救急、救助に全力を尽くしている」と述べた。
3日午前8時現在で地震による死者は62人、重傷者は26人、軽傷者は110人との報告を受けていると説明。また、倒壊した建物などに閉じ込められているなど救助要請が約130件にのぼっていることを明らかにした。現地で救命救助などにあたる自衛隊の人員を1千人規模から2千人規模に、救助犬を2倍以上にそれぞれ増強するなど態勢を強化する考えを示した。
首相はまた、家屋やビルの倒壊現場での救助活動に必要な大型重機の搬入について、「ルート確保は寸断された道路の啓開が進んでいるほか、海上輸送ルート確立のための港湾の状態把握も進めており、一部海上ルートによる輸送を開始した」と説明した。
2日夜に羽田空港で発生した日本航空(JAL)の旅客機と、被災地の救援に向かおうとしていた海上保安庁の航空機の衝突事故については、「各省庁が連携をしながら様々な(支援物資の)輸送ルートを確保している。事故の影響は生じていないと認識している」と語った。
拡大する倒壊したビルの下に女性が取り残された現場で余震があり、救助作業を中断し、待避する大阪市消防局の消防隊員たち=2024年1月3日午前10時55分、石川県輪島市、伊藤進之介撮影
拡大する倒壊したビルの下に取り残された女性の救出作業にあたる大阪市消防局の消防隊員たち=2024年1月3日午前10時、石川県輪島市、伊藤進之介撮影
拡大する倒壊したビルの下に取り残された女性の救出作業にあたる大阪市消防局の消防隊員たち=2024年1月3日午前10時31分、石川県輪島市、伊藤進之介撮影
拡大する航空自衛隊の輪島分屯基地には食料や水などの物資を求める人が相次いで訪れた。避難所に送る物資とは別に、基地内の物資を受け取った。訪れた人によると、避難所には食料がなく困っている人が大勢いるという。隊員らは、被災地へ向け、物資を車両に詰め込んでいた=2024年1月3日午前9時51分、石川県輪島市、小林一茂撮影
11:00
立憲・泉代表「与野党を超え全力で支援」
立憲民主党は能登半島地震対策本部の初会合を党本部で開いた。泉健太代表や岡田克也幹事長らが出席し、内閣府の担当者のほか、電話で新潟、富山、石川の各県連から被害状況などを聞き取った。
会合後、泉氏は記者団に「与野党を超えて、全力で応援、支援すると政府の対策本部に伝えた。一刻も早い支援に全力を尽くしたい」と語った。立憲としての取り組みについて「必要な物資でも各避難所にはなかなか届かない細かな物資もある。できる限り仲間たちが地域を回ってニーズを確かめ、金沢を拠点にしながら物資を送り届けていきたい」などと説明した。
10:55
「逃げろ!」救助活動中に震度5強
午前10時55分ごろ、石川県輪島市河井町は震度5強の地震に見舞われた。
「逃げろ!」
ビルの倒壊現場で救助活動をしていた大阪市消防局員の叫び声が響いた。
約20人で、ビルに押しつぶされた住宅に取り残されているとみられる女性の救出にあたっていた。
隊員らは駆け足で建物の周りから離れ、揺れが収まるのを待った。
10:54
震度5強の地震が発生
3日午前10時54分ごろ、石川県能登地方を震源とする地震があった。気象庁によると、同県輪島市で震度5強を観測。震源の深さは約10キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5・5と推定される。津波の心配はないという。
拡大する3日午前10時54分ごろ、石川県能登地方を震源とする地震の震度図
10:10
岸田首相「人命第一で全力を」
政府の非常災害対策本部会議が首相官邸で開かれ、岸田文雄首相は能登半島地震による死者が60人を超えたことを明らかにし、関係閣僚らに対して人命救助に全力を尽くすよう指示した。
会議には首相のほか、松村祥史・防災担当相らが出席。首相は「発災後、40時間以上が経過した。救助を必要とする方々の情報が多く寄せられている」と説明。「時間との勝負であることを十分に念頭に置き、人命第一で救命・救助活動に全力を尽くしてもらいたい」と語った。
また、避難が長期化する可能性に言及。「被災者支援が極めて重要だ。必要な物資の確保、電力、水道等のインフラ復旧などに全力をあげてもらいたい」と述べた。
09:30
石川県内の死者64人に 3万3千人超が避難
石川県は3日午前8時時点で、県内で62人の死亡が確認されたと明らかにした。県の集計では輪島市で29人とされたが、その後、輪島市長がさらに2人の死者が確認され、31人となったことを明らかにした。県内の死者は計64人になる。
県によると、輪島市以外の死者は珠洲市で22人、七尾市で5人、能登町と穴水町で各2人、羽咋市と志賀町で各1人。重軽傷者は304人。避難者数は約3万3400人という。
09:00
珠洲市に災害救助犬が到着 倒壊家屋がある地区で活動へ
奥能登にあたる石川県珠洲市に3日朝、災害救助犬のチームが到着した。
神奈川の救助犬訓練士協会で組織する獣医師を含む9人と7匹のチーム。倒壊家屋がある地区を回り、中に人がいないかを確認し、必要に応じて救助に関わる。
スタッフの一人は「いち早く現場に行き、閉じ込められた人がいれば救出したい」と話した。
これまで静岡県熱海市の土石流災害の現場で活動したことがあるという。チームの中の災害救助犬、7歳の「えんぞう」も元気そうな姿を見せていた。
拡大する石川県珠洲市役所に到着した災害救助犬の「えんぞう」=2024年1月3日、土井良典撮影
09:00
輪島市の死者29人に 避難者は1万人余り
石川県輪島市は3日午前6時現在、死者が29人となったと発表した。行方不明者の数は把握できていないという。重傷者は9人。
住宅は全壊や半壊の被害が多数出ているが、把握が遅れているという。避難所は市内87カ所に1万人あまりが避難しているという。
08:30
輪島市に大雨警報 土砂災害の危険高まる
気象庁は3日朝、石川県輪島市に大雨警報(土砂災害)を発表した。能登半島では、4日朝まで土砂災害に警戒するよう呼びかけている。
地震の揺れの影響で地盤が緩んでおり、少しの雨でも土砂災害になる危険性が高まっているという。
08:30
余震多発の珠洲市、避難者の水不足続く
石川県珠洲市では3日朝、住民が自宅の片付けなどをする姿があった。海からの水が押し寄せたとみられる飯田港周辺の女性は「お年寄りばっかりの地区やからこれからが大変」。
余震が多発しており、この日の未明にも震度5強の揺れが襲った。真夜中にも何度も救急車のサイレンが鳴った。
市役所に身を寄せている高齢の女性は、いすに座る時間が長く腰が痛いという。「薬は持ってきたけど、水だけしか当たらんし、食べるもんがないから空腹では薬は飲めづらい」。避難した1日に乾パン、翌2日の夜に混ぜごはんのようなものを食べただけ。「生き地獄のよう」
水が足りず、トイレの排泄(はいせつ)物がたまっている。避難者らに困っていることを聞くと、一様に「水」「電気」と返ってきた。
08:20
JR西、北陸での運行を一部取りやめ
JR西日本は3日朝までに、北陸地域の各線について、新たな一部列車の運行停止の状況を発表した。
高山線の富山―猪谷間は日中は運転をやめ、午後6時半の富山発、午後7時2分の猪谷発から再開する予定。
現時点で氷見線は5日まで、大糸線の南小谷―糸魚川間は7日まで運転を取りやめる。
七尾線も金沢―高松間の一部列車を運休し、高松―和倉温泉間は終日運転を取りやめる。
地震の影響を受けている路線の各駅と山陽新幹線、北陸新幹線(金沢―上越妙高間)を発着したり、通過したりする列車の切符については、乗車日から1年以内は払い戻しや有効期間の変更を手数料なしで行う。
08:00
自衛隊1090人が捜索活動 救助犬も投入
自衛隊は3日午前8時時点で、石川県輪島市、珠洲市を中心に1090人態勢で捜索活動を実施している。救助が必要な被災者は輪島市に70人、珠洲市に60人いるとみられ、救助犬なども投入して人命救助にあたる。
07:15
海自護衛艦からヘリ到着 消防隊員降り立つ
石川県珠洲市の野々江総合公園に、海上に停泊する自衛隊の護衛艦「あさぎり」からヘリコプターが到着。護衛艦に乗ってきた県外の消防隊員らが公園に降り立った。県によると、3日昼までに複数回のヘリ輸送が計画されている。隊員らは市内の救助・捜索活動に従事するとみられる。
拡大する消防隊員らを乗せた海上自衛隊のヘリが石川県珠洲市の野々江総合公園に到着した=2024年1月3日午前7時50分、小崎瑶太撮影
06:00
仙台市水道局、新潟市に応援派遣
仙台市水道局は3日、能登半島地震の影響で断水や減水が続く新潟市に、給水車1台と応急給水班、復旧班からなる応援隊6人を派遣した。仙台市は東日本大震災時に新潟市から水道復旧の応援を受け、その後、同市水道局と「災害相互応援に関する覚書」を結んでいた。派遣は5日間程度を予定し、宮城県管工業協同組合の工事用車両9台、組合員11人も同行する。
3日午前6時、太白区の大野田庁舎前で出発式があり、隊長の伊藤本之・東配水課課長が「震災の恩返しになる。復旧の経験と知見を発揮したい」などとあいさつ。新潟市からは2日朝に応援要請があり、同日、先遣隊4人が新潟入りした。
拡大する仙台市水道局の応援隊の出発式=2024年1月3日、仙台市太白区、同局提供
拡大する仙台市水道局の応援隊の出発式=2024年1月3日、仙台市太白区、同局提供
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル