能登半島地震で最大震度6弱を観測した新潟県内では、住宅被害が広がり続けている。県の発表でほとんどが一部損壊とされる一方、倒壊などの危険度を調べる別の調査では、危険か要注意と判定された建物が半数を超える。地震の発生から8日で1週間。いまだ全容が見えない被害の深刻な実態が浮かんできた。
罹災証明の申請 新潟市で3749件に
県災害対策本部によると、県内の住宅被害は17市町で確認された。8日午後1時時点で、新潟市を除いて前日より130棟増えて908棟に上る。ほぼすべての906棟が一部損壊で、半壊が1棟、床上浸水が1棟だった。
これは、災害対応の初期段階で被害の規模を速やかに把握するための緊急的な調査によるもの。総務省消防庁の「災害報告取扱要領」に従い、住宅の主要構造物の経済的被害などを調べる。経済的被害が50%以上で「補修しても元通り再使用が困難」な場合が全壊、被害が20%以上50%未満で「補修すれば元通り再使用できる」場合が半壊で、一部損壊は半壊に至らない程度とされる。
本格的には、住民が公的な支援金を受け取るための「罹災(りさい)証明書」の発行に向け、災害対策基本法に基づく詳細な調査が実施される。被害の程度に応じて全壊、大規模半壊、半壊、一部損壊などに細かく区分される。
西区で液状化現象が相次いだ新潟市は現在、この罹災証明に向けた調査を進めているとして被害を公表していない。罹災証明の申請は8日時点で前日より640件増えて3749件という。緊急的調査では5日時点で150棟で被害が確認され、全壊1棟、半壊7棟、一部損壊142棟だった。
危険な「赤」と要注意の「黄」で計55%
これらの調査とは別に、傷んだ建物による二次被害を防ぐための「応急危険度判定」がある。木造建築物であれば、構造物の沈下や基礎の損傷、1階の傾斜などを主に調べ、A、B、Cの3段階で評価。程度が著しいCが一つでもあると、立ち入りが危険な「赤」、Bがあると、立ち入りに十分な注意が必要な「黄」、CもBもなければ、立ち入っても問題ない「緑」と判定される。
7日までに新潟、上越、柏崎、糸魚川各市の計1261棟で行われ、赤が140棟、黄が555棟と55%を占めた。緑は566棟だった。この調査は住宅以外の倉庫や工場も対象とするが、新潟市によると多くが住宅という。
一連の調査結果を受けて県幹部は、「緊急的調査で一部損壊と判断された住宅でも、深刻な被害を受けているケースは少なくない」とみる。(井上充昌)
しみ出す土砂 広がる亀裂
液状化現象による被害が次々…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル