能登半島地震で被災した人の生活再建を支えるために、さまざまな経済的支援策が用意されている。しかし、そのメニューは多岐にわたり、要件も複雑だ。避難生活のなかで全体を把握するのは簡単ではない。防災士でもある弁護士が、これらの支援情報のポイントや注意点を「瓦版」にまとめ、ウェブサイトで公開した。「現地で配布、掲示してもらえたら」と活用を呼びかける。
「瓦版」を作ったのは、静岡市の永野海弁護士。東日本大震災後に福島県の避難所で相談対応した経験をふまえ、「被災者支援情報さぽーとぺーじ(ひさぽ)」を開設している。「瓦版」はひさぽ(http://naganokai.com/hisapo/)で公開されており、内容を音声で読み上げる動画もある。永野弁護士は「あきらめず支援制度を確認してほしい」と話す。
「瓦版」でピックアップされている支援策の一つが、壊れた家屋などの解体・撤去が公費負担になる「公費解体」だ。
災害廃棄物対策としての施策で、対象は原則「全壊」だが、能登半島地震が「特定非常災害」に指定されたことなどから、今回は「半壊」以上に拡大された。家屋に加えて一定規模以下の倉庫や事務所も対象になる。
住宅に大きな被害を受けたとき、被災者生活再建支援法が適用された地域では、「基礎支援金」(最大100万円)、「加算支援金」(最大200万円)が受けられる。長期避難を余儀なくされていると認定された場合も対象になる。お金の使い道は住宅関連に限らない。
自宅を修理する場合の補助としては、災害救助法に基づく応急修理制度がある。限度額は準半壊なら34・3万円以内、半壊以上で70・6万円以内となる。注意点もあり、この制度を使うと、修理期間終了後には仮設住宅を利用できなくなる。そのため永野弁護士は「修理しても結果として住み続けるのが難しくなる場合もあり、どちらの制度を使うか、慎重に検討してほしい」とアドバイスする。
様々な支援制度は、住んでいる自治体や住宅被害の程度、所得などによっては対象にならない場合もある。利用については自治体に事前に相談、確認することが必要だ。
このほか、雇用、税や社会保障、教育関係まで含めた幅広い支援策をまとめたパンフレット「被災者支援に関する各種制度の概要」を内閣府がウェブサイト(https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/pdf/kakusyuseido_tsuujou.pdf)で公開している。(編集委員・清川卓史)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル